大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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前回に引き続き、司法修習時代のことを書こうとしています。
ソフトボール大会に始まって、3か月間の研修所での授業を受けた司法修習生たちは、全国に散らばって、法律事務所、裁判所、検察庁に置いてもらって、実地研修を受けます。
私が置いてもらった大阪市内の法律事務所は、所長が年配であったためか依頼者も相応に高齢の方が多く、そういった方々から私は「書生さん」と呼ばれていて、悪くない響きだなと思っておりました。
大阪地方裁判所の民事部にいたころは、法廷で裁判官の横に座ったり、裁判官室で裁判記録を読んだりする日々が続くのですが、時には「現場」に行くこともあります。
最も印象深かったのは、執行官と一緒に強制執行に立ち会ったことです。
朝、その日の予定を執行官に尋ねると、携帯電話の通話料を滞納し、裁判で支払いを命じられたのに応じない人がたくさんいるので、その人たちの自宅を回って、所有物を差し押さえるというのです。「動産差し押さえ」という手続きです。
執行官が地図を片手に、大阪某所、曲がりくねった路地の奥にある細い階段を上がった先の、債務者の自宅を探り当てて入っていきました。私も一緒に入ります。
屋根裏部屋のような、天井の低い、狭い家に、比較的若いその債務者はいました。当然、金目のものがあるわけではないので、執行官はやむなく、古びたステレオなどに「差押」のシールを貼っていました。
部屋を見回すと、その片隅の、いっそう天井も低く暗くなった一画で、債務者の父なのか祖父なのか、年老いた男性が薄汚れたせんべいのような布団で寝ているのに気づきました。
この家の急な階段を降りながら、この人たちはここでどんな生活をしているのだろう、と思いました。まだ「格差社会」という言葉が一般的でなかったころで、私は「貧富の差」という言葉を思い浮かべていました。
私の生家は、決して裕福ではなかったですが貧しくはなく、だからこそ、大学を卒業していったん社会に出た私が、やはり弁護士になりたいと言って勉強をやり直すという我がままも許されました。
この執行官とは、債務者の自宅を何軒か回ったのですが、だいたいどこも同じような状況で、貧富の差というものを、観念としてではなく目の前の現実として見たことに、私は少し衝撃を受けました。
法律家の仕事は、現実の問題に法律をあてはめて、それを解決するというところにあります。その前提として、社会の諸相を、様々なナマの現実を、自分の目で見させるというのが、司法修習の重要な目的の一つなのだと思います。
さて、瀬戸内海でのヘリ墜落事故は、司法修習生が検察庁での研修中に起こっているのですが、次回はこの検察修習のころの話を書くつもりです。
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