大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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プロ棋士の加藤一二三(ひふみ)九段が、東京地裁から、「ネコのエサやり禁止」の命令を受けたそうです。
加藤一二三と言えば、少年のころからケタはずれに将棋が強く、中学生にしてプロ入りし、「神武以来の天才」と言われました。「神武」とは日本の初代天皇のことですから、日本の歴史に類を見ないほどの天才ということです。
もっとも、加藤一二三がプロ入りした時代は、15世名人の大山康晴と、16世名人の中原誠の全盛期であり、この2人に挟まれて、「神武以来」と言われたほどの活躍は見せていません。
大山康晴がラオウで、中原誠がケンシロウだとすれば、加藤一二三はトキです。充分すぎるほど強いけど、もっと巨大な存在がいたために、すこしかすんでしまう、そんな方でした(あくまで、20数年前に将棋少年だった私の個人的な見解です)。
それはともかく、この加藤一二三が、自宅近隣にやってくるノラ猫にエサやりをするため、ノラ猫が住み着いてしまい、周辺住民が迷惑に思っていた。住民らが加藤一二三に、それをやめるように求めて裁判を起こし、東京地裁は、エサやりの禁止と、周辺住民への慰謝料の支払いを命じたというわけです。
ネコにエサをやるな、という判決は珍しいケースだと思いますが、裁判所はこのように、一定のことを「する」ように命じたり、または、「しない」ように命じたりすることができます。前者は「新聞に謝罪広告を掲載せよ」というのがその例で、今回のは後者の例です。
後者の類型で良く見られるのは、「何ホン以上の音を出すな」「煙を出すな」など、生活から生じる騒音や臭いなどの停止を求めるパターンです。「ネコにえさをやるな」も、この類型といえるでしょう。
ただ、多くの人が一定の地域で日常生活を送っている以上は、テレビの音や、子供の声や、サンマを焼く煙が隣家から漏れてくるのは、ある程度は仕方がない。ネコやハトにエサをやる行為も、直ちに違法とも言えない。ある程度は「お互い様」とガマンしてやらないと、特にこの狭い日本では暮らしていけない。
だからこれらの行為が禁止されるのは、それが周辺住民の「受忍限度」(ガマンしてやるべき限度)を超える場合に限られます。加藤一二三のエサやりは、社会通念に照らして「受忍限度」を超えていたのでしょう。
ちなみに、禁止命令に反してネコにエサやりを続けるとどうなるかというと、裁判所の人が加藤一二三を取り押さえにくる、というわけではなく、エサをやるごとにいくらかの罰金を払わないといけない、ということになります。
加藤一二三は高裁に控訴してまだ争うようですが、神武以来の天才が、ネコのえさやりのことで法廷闘争を続けるとは、もと将棋少年としては少し寂しい気がします。
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