大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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前回も少し触れました「名張毒ぶどう酒事件」について触れます。
最近の報道では、名古屋高裁がいったん再審を認めたが、同じ名古屋高裁がひっくり返し、それをまた最高裁がひっくり返した、とあります。ややこしい話ですが、いま何がどうなっているのか、ざっと経緯を書きます。
事件は、三重の名張で昭和36年に起きています。村人の会合で振る舞われた「ぶどう酒」、いまで言うところのワインでしょうけど、これを飲んだ女性5人が急に苦しみ出して死亡した。
その会合に参加していた奥西さんと言う男性に容疑がかかって逮捕された。
裁判での争点は多岐に渡りますが、奥西さんが、自分が持っていた農薬をぶどう酒にまぜたのかどうかといったことが争われました。
1審、津地裁は無罪判決(昭和39年12月23日)。
しかし2審の名古屋高裁は、逆転で有罪、死刑判決を下します(昭和44年9月10日)。
弁護側は最高裁に上告しますが、上告棄却(昭和47年6月15日)。
これで死刑判決が確定、奥西さんは「死刑囚」となり、その後ずっと、名古屋拘置所で死刑執行を待つ身となります。
確定判決を争う唯一の方法は、足利事件で菅家さんを無期懲役刑から救った「再審」です。奥西さんの弁護団は、これまで7回の再審請求をしました。
7回と言えばかなりの多数回ですが、めったやたらに申し立てをしているのではありません。同じ理由で再審請求をすることはできないので、弁護団はその都度、有罪判決を覆すべき新たな主張や証拠を提出しています。
今回の7回目の再審請求は、今から8年前、平成14年4月に、名古屋高裁に申し立てられました。地裁は無罪判決を出してくれているので、文句はない。高裁に対して、「昭和44年に出した有罪判決を破棄しなさい」と申し立てたわけです。
そして名古屋高裁は、平成17年4月、有罪判決に誤りがある可能性を認め、再審開始を決定します。
それに不服な検察側は当然争います。高裁に不服があれば、普通、次は最高裁で審理されますが、この再審請求は、(地裁には文句がなかったため)高裁から始まっている。そのため、それに対する異議申し立ては、もう一度だけ同じ高裁で審理することになっています。
同じ高裁と言っても、同じ裁判官が担当するわけではありません。名古屋高裁にも裁判官は多数いるので、別の裁判官が担当します。
そして名古屋高裁(の別の裁判官)は、平成18年12月、再審開始決定を取り消して、再審請求を棄却しました。やっぱり再審は開かない、と言ったわけです。
高裁の2度目の判断に対しては、最高裁に異議申立てができます。弁護団はもちろんそうしました。
そして、おととい4月6日、最高裁は、「再審は開かない」と言った名古屋高裁の決定を取り消し、「もう1回考え直しなさい」と、差し戻しました。
これが現在までの状況です。
これから名古屋高裁が考え直しにかかるので、まだ再審が開かれると決まったわけではありません。奥西さんはすでに84歳の高齢ですが、無罪判決をとるまでにはまだまだ道のりは長いです。
最高裁がなぜ今回のような判断に至ったのか、そのあたりは次回以降に続く。
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