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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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のりピーネタ、もう一つ。
のりピーが不起訴になるのではないかと報道されているようです。不起訴だと、草なぎクンと同様、裁判なしで釈放となります。

覚せい剤所持罪のほうは、自宅にあった覚せい剤がごく微量なため、鑑定にまわすのに充分な量が確保できない。覚せい剤使用罪のほうは、尿検査の結果、覚せい剤の成分は検出されなかった。そういうことのようです。

以下、使用罪のほうに限定して書きますが、尿から覚せい剤が出てこないと無罪になるのかというと、そんな決まりはありません。尿以外でも何らかの証拠があればよい。
では、いかなる証拠が考えられるか。

「のりピーは自白してるんだからそれでいいじゃないか」と思う方がおられるかも知れませんが、それはできません。「本人の自白だけでは有罪にできない」と、憲法や刑事訴訟法が定めているからです。

では、夫も「一緒にやった」と自供している、これを証拠に使えるか。
この点は刑事訴訟法の解釈上、本人(のりピー)の自白にプラスして共犯者(夫)の供述での補強があれば有罪にできるとされています。

ただこれはあくまで理論上そうだというだけで、現実には証拠としては非常に弱い。裁判の段階になって、弁護側の戦略で両者が証言をひるがえしてしまう可能性があるからです。
いま現在、自白していて、供述調書にサインもしていることは証拠にならないかというと、弁護側は調書を裁判所に提出することを拒否できるため、そうなると法廷に出せる証拠は何もナシになる。

実務上、検察側は、被告人が証言を完全にひるがえしても有罪にできる証拠を出します(司法研修所でもそう教わりました)。それができない限り、立件をためらうでしょう。

ならば毛髪鑑定はどうか。覚せい剤は毛髪に残るので、何本か採取して鑑定にかけることが考えられる。この場合、のりピーが毛髪の提供を拒んだら無理にむしりとることができるかという問題はありますがそれは省略し、任意に提供したとします。

ただ毛髪鑑定の結果わかることは、「ここ数年か数か月のうちに覚せい剤をやったことがある」という程度のことらしい。それだと、犯行時刻の特定としては弱いのです。

起訴する際には、犯行の時刻と場所を特定する必要があります。そうでないと、被告人側がアリバイを出したりするなどの反論ができなくなり、フェアでないからです。
何月何日、何時何分と、そこまで厳密に特定できなくても、ある程度の幅は許容されるのですが、それにしても「過去数年内」というのでは、ぼやけすぎている。

そういうことで、検察側は証拠の点でなかなか難しい公判を迫られることになりそうです。
しかし、ここは意地でも起訴に持ち込まないと、「覚せい剤をやっても1週間逃げれば不起訴になる」という先例を作ってしまいます。

のりピーの取調べは今しばらく続くでしょうけど、ひとまず現段階での話はこれくらいで。
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