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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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押尾学の保釈に関して、もう少し書きます。

よくテレビなどを見ていると問題とされているのが、同じ部屋にいた女性が死んでいるという重大な事案なのに、なぜ保釈されたのか、ということです。

それは、今回起訴されたのが麻薬取締法違反(使用)だけで、女性が死んだ件では逮捕も起訴もされていないから、ということに尽きます。
裁判所としては、女性が死んだ事件はないものとして扱わないといけない。麻薬使用だけでも悪質ではありますが、保釈されてもおかしくはない事案だと思います。

ではなぜ、女性が死んだ事件は取り上げられていないのか。
芸能事務所が警察に圧力をかけたなどと疑う人もいるようですが、それは考えられません。
警察や検察、つまり国家権力というのは地上最強の実力(暴力を含めて)を持つ組織であり、一芸能事務所が圧力をかけられるような相手ではありません(それに、押尾学を守るために国家権力を敵に回そうって人もいないでしょう)。

答えは一つで、女性の死の責任を押尾学に問えるか否かが微妙だからです。

ここで適用が考えられる条文は、「保護責任者遺棄致死罪」です(刑法219条、205条、3年以上20年以下の懲役)。

これが適用された有名な事案としては、
ヤクザが13歳の女の子をラブホテルに連れ込んで、セックス目的で女の子に覚せい剤の注射をしたところ、女の子が中毒症状で苦しみ出し、ヤクザはそれを放置して逃げてしまったため、女の子が死んでしまった、というケースがあります(最高裁平成元年12月15日判決)。ちなみにこのヤクザの判決は懲役6年です。

押尾学に「保護責任」があったか。それを「遺棄」(放置)して死なせたか。冷静に検討すると、かなり微妙なのがわかります。

被害者は報道によると、30歳前後のホステスで、いい大人です。亡くなったことは残念でかわいそうだけど、そもそも不用意に押尾学と「密会」などすべきではなかった。
MDMA(麻薬)は誰が入手したかは知りませんが、押尾学が無理強いして飲ませたとは考えられず、女性の意思で飲んでいるはずです。

その状況で「保護責任」が発生するか、やや疑問が生じます(もちろん、道徳的には保護してやるべきだけど、刑法上の責任を問うには、上記のヤクザのケースと比べるとやや弱い)。

「遺棄」したかというと、いちおうはマネージャーに相談して、(本当かどうかはまだわかりませんが)マネージャーが救急車を呼ぶというのを信じて、部屋を出た。遺棄とは言い切れないでしょう。

もちろん、警察は引き続き捜査を進めているはずで、将来的にこちらの件で押尾学が再逮捕されるということはあるかも知れませんが、現時点では確実な証拠がつかめていないのでしょう。

もう少しだけ続く予定。
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