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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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リンゼイ・アン・ホーカーさんの死体遺棄容疑で逮捕されていた市橋容疑者が、今度はリンゼイさんに対する「殺人、強姦致死」の容疑で再逮捕されたと報道がありました。

「再逮捕」というと、逮捕されていた人がいったん逃亡して、再び身柄確保されたというイメージを持つ人もいますが(以前、ある作家も週刊誌でそう言ってた)、

これは、死体遺棄容疑で逮捕(72時間)・勾留(20日間)できる期限が切れたので、殺人・強姦致死のほうでも引き続き捕まえておいてよい、というお墨付きが裁判所から出たことを意味し、市橋は別に逃亡したわけではありません。
 
複数の犯罪の容疑がある場合は、証拠の上で明らかなほう(通常は軽いほうの罪)でまず逮捕しておいて、その期間中に別罪(重いほうの罪)の証拠を固めておいて、再逮捕するというのが警察の常套手段です。
 
で、今回の逮捕容疑なのですが、違和感を持った方はおられないでしょうか。
「殺人」と、「強姦致死」です。
 
この事件の被害者はリンゼイさん1人です。市橋は、抵抗されたら殺してもよいと思いつつ、リンゼイさんを犯し、そして殺害した、と疑われている。
犯した末に死に至らしめたのであれば、「強姦致死」のみでよいのではないか。
 
これは、強姦致死について定める刑法181条1項が、刑罰として「無期または3年以上の懲役」と定めていることに原因があります。つまり、死刑を選択できないのです。どんな悪質なケースでも、最も重くて無期懲役にとどまる。
 
だから、それにプラスして、殺人の条文(199条)も重ねて適用する。殺人罪には死刑も定められているからです。
 
となると、別の疑問も生じます。
だったら、「殺人」と、「強姦」を重ねて適用すればいいのではないか。
「殺人」と「強姦致死」だと、何だか1人の女性を「2回」殺しているような形になる。
 
これにも、いちおう理由はあるのですが…細かくなる上に、面白い話でもないので、割愛します。こういう話が面白いと感じた方は、司法試験に向いているかも知れません。
 
リンゼイさんのご冥福を祈ります。
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