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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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最高裁での無罪判決について触れます。
強姦の容疑で、1審・2審で有罪にされていた被告人に対し、最高裁は逆転無罪判決を下しました(7月25日)。

最高裁というところは、憲法や法律の解釈について審理するところであって、事実そのもの(強姦したか否か)について立ち入って検討することは基本的にはないので、ここまで踏み込んだ判断をすることは異例です。

と、ここまで書いて、以前にも同じような話を書いたなと思いだしたのですが、2年前、強制わいせつ事件で被告人が最高裁で逆転無罪になった判決に触れていました。
最高裁で逆転無罪というのがいかに「異例」かについては、こちらこちらをご覧ください。

以前に書いたのと重複する話は省略するとして、今回の事件の内容を紹介します。

なお、今回の最高裁判決は、最高裁のホームページから見ることができます。
興味のある方は「裁判所」で検索して裁判所のトップページへ行き、「最近の判例一覧」→「最高裁判所判例集」と進んでください。7月25日の「強姦被告事件」の判決です。PDFファイルで、当事者の名前以外は全文見ることができます。

それによりますと、事件は少し理解しがたいものでした。
事件は、平成18年、千葉市内で起こっています。被害女性(当時18歳)の供述によると、被告人の男性(現在53歳だから当時50手前)に、市内の路上で「ついてこないと殺す」と言われ、ビルの階段の踊り場に連れていかれ、そこで強姦されたとのことです。
1審・2審は女性の供述に従って、被告人を有罪とした。

被告人の弁解はこのようなものです。
自分は手に3万円を持って、通りすがりのその女性に声をかけ、以下最高裁判決そのまま引用しますが「報酬の支払を条件にその同意を得て」「手淫をしてもらって射精をした」とあります。
書くのをはばかりますが、たぶん…「3万円あげるから手で抜いて」とでも声をかけたのでしょう。ちなみに
この男性は、ビルの階段の踊り場で抜いてもらったあと、3万円を払わずに逃走しています。

この男性のやっていることもどうかと思いますが、それが事実とすれば、同意の上で手で射精させてもらったというだけであって、強姦にはなりえない。

この事件で証拠となるものと言えば女性の供述だけでした。
これまでの刑事裁判の傾向としては、被害者の証言がかなり重視されていました。もちろん、一般論としてはそれで良いのです。
しかし被告人側が「濡れ衣だ」「被害者がウソをついているんだ」と反論しても、「被害者は被告人と利害関係もないし、別に恨みを持っていたわけでもないから、わざわざウソをつく理由がない」として、反論がたやすく排斥される傾向がありました。

最近は、被害者の供述を偏重しすぎることなく、被告人の供述と比べて、どちらがより信用できるかということが吟味されつつあるようで、裁判のあり方としては、当然、こちらのほうがより望ましいと思います。

この件、次回にもう少し続く。

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