大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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小沢一郎が検察審査会の決議に基づき、政治資金規正法違反の罪で起訴されることになりました。これで小沢さんは近いうちに「被告人」となり、刑事裁判を受ける身となります。
すでに当ブログでも書きましたが、検察の捜査や事情聴取が小沢さんの身辺に及んだとき、小沢さんは「こんなことは民主主義国家においてあってはならない」と激しく言い捨てました。
しかし検察審査会は、一般の国民から選ばれた11人の委員が、事件を起訴すべきかどうかを多数決で決める制度であり、制度の当否はともかく、極めて民主主義的な制度です。
検察に対しては憤っていた小沢さんも、検察審査会の判断なら、素直に従わざるをえないだろうと思っていたら、何と検察審査会を訴え「あの決議は無効だ」と言い出した。
かつて野党・民主党の代表だったころ、選挙前にはニコニコして「国民の生活が第一」と言っていた小沢さんが、国民に牙をむいたわけです。
これは私にとっては例えば、「男たちの挽歌」で出所後の主人公(ティ・ロン)をかくまう「いい人」役だったケネス・ツァンが、チョウ・ユンファのハリウッド進出第一作「リプレイスメント・キラー」ではマフィアの大ボス役としてユンファを殺しにかかるのを観たような衝撃です。これは映画の話ですが小沢さんは現実世界で手のひら返してます。
で、チョウ・ユンファの話でなくて法律的にこの事態について書かないと、と思いますので、極めて大ざっぱながら解説します。
小沢さんが検察審査会を訴えたのは、行政訴訟という訴訟の一種であり、起訴議決を取り消せ、その効力をストップせよ、と主張した。
この行政訴訟は、行政処分の取消しを求めて訴え出るもので、ここにいう行政処分とは、お役所の判断であって、国民に直接不利益を与えるものだ、という程度にご理解ください。
典型的には、公安委員会が下す免許の停止や取消し、税務署が下す脱税者への重加算税の課税などが挙げられます。
では、検察審査会の起訴議決はこれにあたるかというと、疑問です。検察審査会は、各裁判所に置かれる、一般国民によって構成される委員会であり、そもそも役所(行政)とは異なるからです。
それに、起訴・不起訴の判断を行政訴訟で争えるとすれば、検察官がする通常の起訴に対しても行政訴訟が起こせることになってしまいます。検察組織も行政の一部だからです。
しかし、検察官が起訴すれば、あとの有罪・無罪は刑事裁判の法廷で争うべきであって、それを別の裁判官(行政訴訟の担当の裁判官)が横ヤリを入れて「起訴自体を取り消す」なんてことは想定されていないはずであり、現に行なわれていません。
そして東京地裁は18日、検察審査会は準司法機関(司法権に準ずる機関)であり、その決議は行政処分でないという理由で、小沢さんの訴えた起訴議決の執行停止の申立てを却下しました。ただ、行政訴訟自体はまだ続くのですが、そのあたりは次回に続きます。
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