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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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唐突ですが、当ブログの趣旨は、身近な法的問題を、専門家以外の方になるべくわかりやすく伝えるという点にあります。そのため、専門家が見れば不正確な部分もあるでしょうけど、あまり細かな議論まで踏み入ることはしません。
 
と、そこまで書いておいて、今回は、前回書いた話題について、少し細かな議論を加筆しようと思っています。民主党が、天皇陛下の中国副主席との会見をゴリ押しした件についてです。
 
小沢が「天皇の国事行為は内閣の助言と承認に基づいて行うから問題ない」と言ったのは、憲法の条文に「形式的には」合っている、と前回書きました。
 
これに対して、新聞等に出てくる識者などの見解によると、天皇が外国人と会見するのは、「国事行為」ではなく「公的行為」であるから、内閣の助言と承認は必要ない、だから小沢はハナから間違っている、との指摘もあります。
 
このどちらが正しいかについて検討します。
(このあたりで面白くなくなってきた方は、今回は読み飛ばしてください)
 
天皇の「公的行為」というものから説明しないといけないのですが、天皇陛下は、憲法に定められた「国事行為」(その内容は憲法6条・7条をご確認ください)を行うだけではありません。
 
公務の合間には、ご飯を食べたり、悠仁さまや愛子さまと遊んだり、大相撲を見物したりされるでしょう。これらは「私的行為」であって、誰に口をはさまれることもありません。
 
他に、国事行為でもないけど、かと言って全くの私的行為でもなく、何らかの公的性質を帯びる行為もあります。これが公的行為です。たとえば、国会開会時の「お言葉」とか、正月の一般参賀などがこれにあたります。
 
国事行為でないから、内閣が助言と承認を行うわけではなく、宮内庁が天皇の公的行為を取り仕切ることになります。もっとも、宮内庁も役所の一つであり、役所のトップは内閣だから、内閣が間接的に公的行為を補佐することになります。
 
だから、天皇が中国副主席と会見する行為は、国事行為と解しても、公的行為と解しても、内閣が直接または間接にコントロールしうることには変わりはありません。
 
ただ、純粋な条文の解釈としては、前回の記事では、憲法7条9号の「外国の大使・公使の接受」にあたると書きましたが、考えてみれば大使・公使とは外交交渉など明確な目的を持ってきた人を指し、物見遊山に来ただけの中国副主席は大使・公使と言えない。
 
せいぜい「外国の要人」であって、それとの会見は、識者の言うように「公的行為」に留まるであろう、と思えます。だから前回の記述を訂正して、小沢の言ってることは「形式的にすら」憲法に合っていないとしておきます。
 
(法学部生向けに注。私的行為以外はすべて国事行為だとする見解も存在しますが、少数説でしょうし、少なくとも従来の政府見解は、公的行為の存在を認める象徴行為説に立っていたはずです)
 
いずれにせよ、憲法上、内閣は天皇の国事行為または公的行為にコントロールを及ぼしうるのですが、時の与党が自己都合で天皇の行為をコントロールすることなど、憲法は想定していないはずであり、民主党は今回やってはならないことをしたという私の考えについては変わりありません。
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