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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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鳩山首相が、自身の政治献金問題について、偽装献金への関与を否定する「上申書」を、東京地検に提出したそうです。私自身、よくわからない話ですが、解説を試みます。
 
上申書とは何かというと、国家機関に何らかの連絡や報告をする際に出す文書のことです。私も、担当している裁判について裁判所に事務連絡をする際に、上申書を提出することがあります。
(もっとも、上申書とは字の通り、「上に申しあげるための書面」を意味し、「国家=お上」という意識に基づくネーミングであって、私はあまり好きではありません)
 
鳩山首相の「上申書」の内容は、故人名義での献金や、母からの数億円の贈与について、首相自身は「関与していない」という趣旨であったそうです。
よくわからない部分は多くありますが、とりあえず以下2点に触れておきます。
 
まず、犯罪への関与が疑われている人、世間ではこれを「容疑者」と言いますが、容疑者に対して検察が事情聴取しようというときに、「上申書」だけ出せば取調べに応じなくてもよいなどという話は、一般的にはありえない。
 
さらに不可解なのは、上申書の内容について鳩山首相が「憶測を呼ぶから何も話さない」と言っている点です。
「関与していない」というのであれば、それを堂々と話せばよいのです。いや、首相という立場にある以上、国民の政治への信頼を損なわないように、話す義務があるというべきです。
 
話さない、というのなら、話さないことを前提にこっちで憶測するのも勝手だと思うので、以下、私の憶測です。
 
鳩山首相は、偽装献金や贈与税の脱税に、関与しています。
検察としては、首相を逮捕することで国政に混乱をきたすことはさすがに気が引けるが、しかし、首相が「私はやってない」と言い張ると、検察のメンツにかけても逮捕せざるをえない。
 
とはいえ検察官も役人ですから、首相は法務大臣を通じて、検事総長に対し、逮捕させないよう圧力をかけることもできる(検察庁法14条、「指揮権の発動」)。
 
そこで検察は、上申書の提出という特例で済ませることにした。
その際、「やったことを認めてくれるなら、逮捕もしないし、その内容は明らかにしない」と首相に約束し、首相のメンツを保つとともに、首相に「貸し」を作った。
 
だから、検察へ提出した上申書は、「関与した」という内容になっているはずです。
 
いきなり話が小さくなりますが、私自身、司法修習生として大阪地検にいたとき、こそ泥や痴漢を取り調べる経験をしており、その際、やったことを認めて供述調書にサインしてくれるなら、逮捕も起訴もせずに穏便に済ませたいのだけど、やってないというのなら裁判に持ち込んでハッキリさせざるをえない、という状況が何度かありました。
 
今回は、そういうことが国家規模で行われたのだな、と勝手に憶測しています。
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