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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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前回の続き。

小沢一郎が検察審査会の起訴議決に対し、行政訴訟を提起したと書きました。その内容は、「起訴すべきだという議決を取り消せ」ということですが、行政訴訟をするにも時間がかかるので、その判決が下るまでの間に小沢さんは起訴されてしまう。

だから、「取り消せ」という訴えにプラスして、「その裁判の結論が出るまで、起訴議決の効力を凍結させよ」という訴えを起こす必要があります。

これは行政処分に対する「仮の差止め」という手続です。その行政処分が実行されると取り返しのつかない損害が生じるおそれがあるときに、本来の行政訴訟の結論が出るまで、「仮に」行政処分をストップしておくというものです。

18日に東京地裁が却下したのは、この仮差止めのほうです。ですから、小沢さんの起訴そして刑事裁判の動きは今後も粛々と進められていきますが、それと並行して、行政訴訟(起訴議決の取消し)のほうも、審理がされることになるでしょう。

では、そもそも検察審査会の議決に対して、行政訴訟が及ぶのか否か、前回私は疑問であると書きましたが、裁判所はどう言っているか、見てみます。

最高裁は昔、「行政訴訟は及ばない」といったことがあります(昭和41年1月13日判決)。
その理屈は「検察審査会の決議は、国民に直接影響を与えないからだ」ということです。前回書いたとおり、行政訴訟の対象となる行政処分とは、国民に直接不利益を与えるものでないといけないからです。

ただこれは、検察審査会の起訴議決に強制力がなかった(起訴するかどうかはあくまで検察官が決めていた)時代の判例であり、現在の制度を前提にすれば、同じ理屈はあてはまらないと考えることもできます。

他の判例としては、横浜地裁(昭和41年4月6日判決)が「議決の中身まで立ち入った審査はできないが、ちゃんとした手続きのもとで議決が行なわれたか否かは審査できる」と言ったことがあります。手続違反があれば、検察審査会の議決を裁判所が取り消すことができる、ということです。

(たとえば、定数11人の委員のうち3人しか出席していないのに、「11人の出席があって8人が起訴相当と判断しました」などとウソの議事録が作られたときなどは、審査の対象になると言ってよいでしょう)

行政訴訟を起こした小沢さんの弁護士も、当然この判例を知っているはずで、手続違反を主張しているでしょう。

一部の報道によると、議決に立ち会った弁護士が反小沢的だとか、審査会の委員の年齢が不自然に若い(つまり意図的な選任があった)とかいう話もあり、また、詳細は省きますが、起訴議決があった容疑の内容と、検察官が不起訴にした容疑の内容が微妙に食い違うとかいうことも主張しているようです。

小沢さんのことだから徹底的に争うと思われますので、新制度下の検察審査会での議決について、行政訴訟がどこまで及ぶのかという興味深い論点に、最高裁の判断が下されると予想されます。
それはそれとして注目したいですが、本当に無罪を主張するのであれば、本筋の刑事裁判1本で堂々と争えばいいのにな、とも思っています。
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