大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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前回の続き。
刑事裁判への被害者参加制度の趣旨は、被害者の被害感情の緩和に主眼があると思われるのですが、それでも疑問を感じる部分もある。
まず、刑事裁判の手続きにおいて、被害者の被害感情は、被告人を訴追する検察官がくみ取る建前をとっています。
原始的な社会では被害者自身(またはその遺族)が加害者に報復・復讐することになっていたが、近代国家においてはそれはやめようということで、加害者を追及するのは検察官、それを裁くのは裁判官というふうに、国家権力が国民の「復讐する権利」を取り上げた。
その代わり、被害者の被害感情は検察官が充分に満たすことにして、その気持ちを最大限に配慮した捜査、起訴、求刑を行なうことにした。それが刑事訴訟法の基本的な考え方であるはずです。
ですから、被害者参加というのは近代国家の刑事裁判のあり方からはかなり異質なもので、そんなものを取り入れなければいけないというのは、これまでの検察官がよほど「被害者の気持ちを配慮できてませんでした」と自認しているようなものです。
(少しそれますが裁判員制度も似たようなもので、「国民の常識を裁判に取り入れる」とか最高裁が言ってますが、それはつまり「裁判官には常識がありません」と認めているようなものです)
そういう話はさておくとしても、刑事裁判というのは、刑事訴訟法に定められた手続に則った審判を経て、被告人に有罪・無罪の判決を下す場であるはずです。
しかし、被害者が積極的に法廷に参加することによって、「冷静で厳密な審判の場」である法廷が、「感情を前面に出して被告人を罵る場」となることも考えられる。これは却って、刑事裁判の手続を矮小化させる気がするのです。
とはいえ、被害者参加制度が立法として成立し、見る限りでは一般に広く受け入れられているのは、実態としてそれほどまでに、被害者の感情がないがしろにされてきた事実があるのだと思います。
異質な手続ですからその運用には配慮と注意を要すべきですが、被害者保護に少しでもプラスに働くように期待しつつ、その運用のあり方に注目していきたいと思います。
刑事裁判への被害者参加制度の趣旨は、被害者の被害感情の緩和に主眼があると思われるのですが、それでも疑問を感じる部分もある。
まず、刑事裁判の手続きにおいて、被害者の被害感情は、被告人を訴追する検察官がくみ取る建前をとっています。
原始的な社会では被害者自身(またはその遺族)が加害者に報復・復讐することになっていたが、近代国家においてはそれはやめようということで、加害者を追及するのは検察官、それを裁くのは裁判官というふうに、国家権力が国民の「復讐する権利」を取り上げた。
その代わり、被害者の被害感情は検察官が充分に満たすことにして、その気持ちを最大限に配慮した捜査、起訴、求刑を行なうことにした。それが刑事訴訟法の基本的な考え方であるはずです。
ですから、被害者参加というのは近代国家の刑事裁判のあり方からはかなり異質なもので、そんなものを取り入れなければいけないというのは、これまでの検察官がよほど「被害者の気持ちを配慮できてませんでした」と自認しているようなものです。
(少しそれますが裁判員制度も似たようなもので、「国民の常識を裁判に取り入れる」とか最高裁が言ってますが、それはつまり「裁判官には常識がありません」と認めているようなものです)
そういう話はさておくとしても、刑事裁判というのは、刑事訴訟法に定められた手続に則った審判を経て、被告人に有罪・無罪の判決を下す場であるはずです。
しかし、被害者が積極的に法廷に参加することによって、「冷静で厳密な審判の場」である法廷が、「感情を前面に出して被告人を罵る場」となることも考えられる。これは却って、刑事裁判の手続を矮小化させる気がするのです。
とはいえ、被害者参加制度が立法として成立し、見る限りでは一般に広く受け入れられているのは、実態としてそれほどまでに、被害者の感情がないがしろにされてきた事実があるのだと思います。
異質な手続ですからその運用には配慮と注意を要すべきですが、被害者保護に少しでもプラスに働くように期待しつつ、その運用のあり方に注目していきたいと思います。
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