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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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書こう書こうと思ったうちに時期を逸しておりまして、今さらながら、小室哲哉の執行猶予判決について触れます。

私自身は、5億円も騙し取った以上、返したとはいっても、実刑判決(刑務所に行かないといけない)は免れないだろうと思っていました。
現に、検察側の求刑は懲役5年でした。判決は、検察側の求刑の「2割引」くらいになるとよく言われてまして、それはある程度事実です。3割引くらいの判決が出ると、「けっこう安くしてくれたなあ」と思う。

求刑5年だから、仮に3割引でも懲役3年半。
刑法上、懲役刑は3年を超えると執行猶予がつけられないことになっているのです。
それが、「4割引」の3年にしてもらえた。異例の優しい判決と言っていい。

この判決から、実刑か執行猶予かの分かれ目は何かということについて、2つのことがわかると思います。

1つめ。被害者の気持ちも重要だが、被害弁償が充分になされたかどうかという点が、より重視される。

小室は、騙し取った5億円に、利子5000万円、慰謝料1億円を加えて返済した。被害者はこれを受け取ったが、「誠意が足りない」とし、「示談」には応じず、「まだ許さない」と言っていた。(示談とは何かについては過去の記事へ)

しかし、裁判官としては、「その事件の被害者が満足したかどうか」ということより、「一般的に見て、たいていの人が満足するくらいの弁償がなされたかどうか」という観点で考える。5億円の被害で6億5000万円返ってくれば、いちおう、満足に足る弁償がされたと見ていい。

そうでないと、同じ被害でありながら、被害者がたまたま優しい人だったら示談してくれて執行猶予、そうでなければ実刑となり、それも不合理だからです。

2つめ。
本人の反省も重要だが、その裏付けとなる客観的状況がより重視される。

小室に限らず、金に困って窃盗や詐欺を働いた被告人が、法廷で涙を流しながら、「一生働いてでも弁償します」と言うことは多いですが、裁判官はそれだけでは動かされない。
一生働くといっても、就職先も決まっていない被告人も多いからです。涙を流すだけでは信用されない。

しかし小室なら、音楽活動を再開することで、更生(立ち直り)が現実的に可能だ、と裁判官は見たのだと思います。
小室が被害者に弁償したお金は、エイベックスの人が立て替えたものだから、将来返さないといけないし、前の奥さんへの慰謝料や、自身の生活費もかかる。でも小室なら将来それらを払っていけると考えたのでしょう。

以上、身も蓋もない言い方をすると、「地獄の沙汰も金しだい」ということになります。でも、流した涙の量よりも、出せるお金の額で判決が決まるほうが、まだ合理的であるとは思います。
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