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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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のりピー、夫の高相、押尾学と、一連の薬物事件の審理が終了しました。
報道で知る限りでは、個人的には高相の裁判が興味深かったです。
法廷にペットボトル入りのお茶を持ち込んで、裁判官からそれをしまうように注意されたとか。

法廷内では「飲食禁止」とされています。
カバンにペットボトルをしのばせておいて、裁判前にこっそり飲むという程度であれば、私もやったことがありますし、それで注意されたことはないですが、大っぴらにペットボトル片手に法廷に立てば注意されるでしょう。

法廷内でなぜ飲食禁止かというと、それは当然であり、常識です。人を裁くという厳粛な場においてふさわしい行動ではないということに、多くの説明を要しないと思います。
高相の弁護人は、それをきちんと指導しなかったのか、とも思いますが、おそらく弁護人も、高相がそんな行動をとるなど予測すらしていなかったのでしょう。

と、そこまでは常識の話として、私もいちおう弁護士なので、法廷内での飲食禁止ということについて、法的に考えてみたいと思います。

法的に言って、「禁止」ということの意味は、「国家機関が国民に対し、ある行動をしないように命じること」を意味します。
私たち国民の活動は自由であるということは憲法でも保障されており、したがって、裁判所という国家機関が私たちに法廷内での飲食を禁じるためには、何らかの法的根拠が必要なはずです。

しかし、刑事訴訟法には、「飲食禁止」を定めた条文はありません。その他関連の法令をざっと見てみましたが、これを明確に定めた法令はないようです(見落としがあるかも知れないので、そういう条文を見つけた方がおられたら教えてください)。

根拠となるべき条文を挙げるとすれば、裁判所の訴訟指揮権(刑事訴訟法294条など)でしょう。
法廷の場における訴訟進行は裁判官に権限がある、という趣旨の簡単な条文ですが、そこには、訴訟を取り仕切るだけでなく、不規則な発言をする人がいたら退廷させるなどして法廷の秩序を維持するという権限も含まれている。

高相に裁判官が「ペットボトルをしまいなさい」と言ったのは、この権限に基づきます。

なお、裁判を傍聴したことがある人なら、法廷の入り口の脇に、注意書きが書かれてあるのを見たのではないかと思います。
そこには、法廷内では静粛にしてくださいとか、許可がない限り撮影や録音はダメとか、危険物などを持ち込むなとか、そういったことが書かれています。
これらも、訴訟指揮権に基づいて、裁判官が当事者や傍聴人に予め命令しているわけです。

大阪地裁の法廷にある注意書きを、改めて確認してみましたところ、危険物やプラカードはダメ、と書いてありましたが、飲食物はダメとは書いていませんでした。
飲食物を大っぴらに持ち込む人など、これまでは常識的に考えられなかったので、あえて書かなかったのでしょう。

高相被告人はそれほど非常識な行動をしたことになります。
そら、のりピーも裁判で「離婚したい」って言いますで、と思った次第です。
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