[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
昔からそのエッセイが好きでよく読んでいる曽野綾子さんが、今も産経新聞でコラムを書いておられます。
今朝書いておられたのは、最近、社名にカタカナやアルファベット3文字を使う会社が増えたが、あれはその会社が何をやっているのか、外部の人間にはよくわからないという話でした。
もちろん、カタカナ社名であればすべてインチキだ、ということはないのですが、おそらく、その逆は言えます。
私の事務所でも事件として多数扱っていますが、投資詐欺(未公開株とか、海外の金や原油の先物を買うとか)でお金を儲けて、裁判になったころには会社を潰して、関係者が逃げてしまうような会社は、ことごとくと言っていいほど、長く複雑なカタカナを使ったり、アルファベット3文字を使ったりしています。
先週の新聞で、大阪市内の投資業者の経営者グループが逮捕されたというニュースがありました。その社名は「国際リード投資」といい、これはまだ社名の一部が漢字ではありますが、扱っていた商品は「CFD取引」と言いまして、アルファベット3文字です。
CFD取引とは何かというと、商品相場などを指標として行なう差金決済取引のことです、と新聞などには書かれていますが、たいていの人にはわからないと思います。
そして、聞いてすぐ理解できないようなものには、決して手を出してはいけないのです。
社名であれ商品名であれ、複雑なカタカナや外国語を使ったり、説明の際に理解しがたい用語を使ったりするというのは、それに携わる人がその合理性を説明しようという態度を放棄しているか、またはもともと合理的なものでない(つまりインチキ)かのいずれかなのです。
ついでに、こういうことを言うと同業者に怒られるかも知れませんが、最近の法律事務所の名称にも、意味がよくわからない外国語を使うところが増えつつあるように思います。
1月1日、息子の誕生日プレゼントに「スーパーオート・トミカビル」を買い与えました。電動のタワーパーキングのおもちゃで、トミカのミニカーがその中を行き来するのですが、ミニカー好きの息子は元日以降、すっかり気に入ってます。
さて最近のインターネットの発達は実に便利で、息子が1歳のころから、むずがったりしたときには(母親には「母乳」という最強アイテムがありますが父親にはないので)、トミカのサイトを開いて見せたりしています。
息子は特に「ハイパーブルーポリス」シリーズの宣伝用ムービーが好きでして、これはトミカタウンという街を守る特殊警察のようなものです。
犯人が車で逃走したりすると、ハイパーブルーポリスが出動し、煙幕弾を発射して犯人の車を横転させて逮捕したり、犯人がビルの中に立てこもると、パトカーが「装甲車モード」に変形し、ビルの壁を突き破っていきます。
これを行政法的に見ると、警察比例の原則(警察の実力行使は相手の力に見合わないといけない、つまり「やり過ぎ」はいけないという原則)に明らかに反しており、裁判の段階になったら弁護側が、「行きすぎた実力行使で違法逮捕だ」などと主張してくると思うのですが、息子はもちろんそんなことを考えず楽しそうに見ています。
将来、息子に「お父さんの仕事は何?」と聞かれたときに、「ハイパーブルーポリスに捕まえられた人たちを護ってあげる仕事なんだよ」と言ったとしたら、息子は理解してくれるだろうか、と考えたりもします。
1月4日は伊勢神宮にお参りに行きました。
菅総理が参拝に来たせいで、交通規制があったりして迷惑でしたが、息子も総じてぐずることなく、長い道のりを耐えてくれました。
新聞か何かで、伊勢神宮の参拝人数が増加しているとの記事を見ました。理由の一つには、神社仏閣を「パワースポット」として紹介する情報誌の存在もあると思います。そのこと自体は良いとしても、その一方で、パワーが得られるなどと称して、うさんくさい商品を売り付ける業者も出てきていると、これも何かの新聞で読みました。
私は、即物的に言いますと、神社などにお参りすることのみで神様のご加護が得られるなどとは思っていません。それでも、伊勢神宮に限らず神社やお寺、そして墓参りなどに行くと、やはり何らかのパワーを得られた気がします。
それは、我々日本人が古くから大切にしてきた場所に訪れ、我々のきた歴史を思い敬うことによって、今を生きる我々にも、内省の機会と、これからを生きる活力が得られるからだと思います。
神様仏様や自分のご先祖を敬う気持ちを持つ人は、自然に、我々の歴史と、今を生きる人々を敬う気持ちを持つこととなり、それはその人の対人関係や、仕事への接し方などに反映するでしょう。そういう人は、きっと色々なことが良い方に動いてゆくでしょう。「神様のご加護」というものがあるとすれば、つまりはそういうことだと思っています。
当事務所は明日6日から通常営業です。
今日は息子とスーパーオートトミカビルと、ハイパーブルーポリスで遊んで、また明日から業務に邁進する所存です。
だから、ということでもないですが、今回は完全に雑談です。
大阪の人間は、誰もが「お笑い」と「たこ焼き」には一家言を有しています(たぶん)。
お笑いといえば、「M-1グランプリ」が本年で終了しました。出場した漫才師のなかで誰が面白いか、という議論は、大阪の人間に限らず、お笑い好きなら尽きない話題でしょう。
私も楽しんで見ていたほうですが、ただ、私個人の感想としては、お笑いというのは、あまり真剣にやられると、こっちが興ざめするように思います。演じる側の意気込みや熱意が伝わり過ぎると、見ているほうが緊張してしまい、肩の力を抜いて笑えなくなってしまうのです。
同じようなことが、たこ焼きにもあてはまると思えます。
今でこそ「大阪名物」などと言われていますが、私の子供時代のたこ焼きのイメージと言えば、夜店の屋台とか、銭湯に行った帰りに民家の軒先で焼いているのを、親に買ってもらったという程度で、あれはおいしかったのかというと、子供が小腹を満たす程度のものでしかありません。
たこ焼きはどこまでいっても所詮たこ焼きで、小麦粉とソースの味でしかなく、あれをおいしいと思って食べたことはないです。だから、たこ焼きの店に行列ができるというのが、私には今でも理解ができません。
ここでも何度か触れた、道頓堀のたこ焼き「大たこ」は、ついに大阪市の指導に従い、不法占拠であった店を自主的に撤去し、近くのビルで再開したらしいです。
撤去したのは当然で、「遅すぎた」という感想しかないのですが、もう一つ、不法占拠中の賃料相当額をきちんと大阪市に払ったのかどうかは気になります。もしまだだったら、市はきちんと取りたてるべきでしょう。
ともかく、お笑いもたこ焼きも、相当な修練が必要な技術であることはわかるのですが、それを表には出さず、所詮はお笑い、所詮はたこ焼き、くらいのスタンスでやってくれるほうが、私は好きです。
ここ数年は、M-1はじめお笑いが熱くなり過ぎたように思えます。不法占拠のたこ焼き屋も、何の意地だか法廷闘争などして、ずいぶん興ざめしました。
この年でM-1も橋の上の「大たこ」も終わったということで、私の気持ちに一区切りついた思いがしています。
海老蔵事件に触れたついでに、さらにどうでもよい話を続けます。
週刊誌などの報道では、リオン容疑者の知人(暴走族の元リーダーとかいう人)の「証言」が紹介されていて、最も有名なものは、「灰皿にテキーラを入れて飲ませようとした」というものでしょう。
私は、テキーラよりはスコッチが好きなのですが、どっちであれ酒好きの私としては、灰皿にテキーラを入れるなどというのは、酒に対する侮辱であり、もし本当なら殴られても仕方がないと、感情としては思います。
個人的感情はさておき、ここでは灰皿にテキーラを入れる行為の違法性について検討したいと思います。
まず、灰皿にテキーラを入れること自体は、刑法上の犯罪には何ら触れないでしょう(もちろん店の人には怒られるでしょう)。
昔の有名な判例として、料理屋で皿に放尿した行為が器物損壊罪(刑法261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金)にあたるとされたケースがありますが、これはおしっこをかけられた料理皿など心理的に使えなくなるためです。テキーラを入れられた灰皿は、洗えばまた使えます。
また、相手を脅すなどして灰皿のテキーラを無理に飲ませると、強要罪(刑法223条、3年以下の懲役)になります。実際に飲まなくても無理に飲ませようとすると、強要罪の未遂になります。
灰皿テキーラを強要して飲ませて、相手がお腹をこわしたりすると、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役または50万円以下の罰金)にもなるでしょう。
また、他の客がいる店内で「俺の灰皿テキーラが飲めねえのか!」などと大声で凄むと、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)になりますし、「お前のようなヤツには灰皿テキーラがお似合いだ!」などと侮辱すると、侮辱罪(刑法231条、30日未満の拘留または1万円未満の科料)にもなりうるでしょう。
では、海老蔵の灰皿テキーラが上記いずれかの犯罪に該当するのだとたら、リオン容疑者がそれに激昂して海老蔵を殴った行為は正当防衛になるのかというと、それはまず無理でしょう。
仲間に侮辱を加えられたから殴ってやり返す、というのは、任侠ものや香港のカンフー映画ならよくある話でしょうけど、現実には許されません。
正当防衛(刑法36条で無罪)が認められるのは、あくまで自分または他人に危害が加えられているときに限ります。
たとえば海老蔵が暴走族元リーダーの口を押さえつけて灰皿テキーラを流し込もうとしていて、そこにリオン容疑者が割って入って海老蔵を突き飛ばした、というようなケースであれば、正当防衛となる余地もあるでしょうが、さすがに海老蔵はそこまでしていないと思います。
ということで、「海老蔵事件を追う」シリーズは以上2回で終了します。
さて、この間の話題として、あえて触れるとすれば、海老蔵でしょうか。
歌舞伎は見ませんがヤマキのCMは好きでして、これは海老蔵がそうめんをうまそうに食べるCMで、季節ごとにそうめんの調理方法が違っていて、日曜日の昼「新婚さんいらっしゃい!」をぼんやり眺めていると合間にこのCMがよく流れるので、遅めの昼ごはんに「そうめん食べたいなあ」と思ったりするのですが、あの爽やかにそうめんを食べていた人が殴られて大ケガしたのかと思うと、さすがに最初はびっくりしました。
週刊誌レベルでは、殴った人は東京で恐れられている人で、暴走族やヤクザ社会でも一目おかれていて、海老蔵はそういう裏の社会とつながっていたかのような記事も見かけたりしました。
しかし、その後の報道等を見ていると、「驚愕の事実」みたいなものが出てくるわけでもなく、この一件はおそらくどこまで行っても「酒場のケンカ」のレベルを過ぎないのだろうなと思っています。
ケンカなら、なぜ海老蔵は逮捕されず、殴ったリオン容疑者は逮捕されたかというと、それは簡単です。海老蔵は明らかに大ケガしたけど、リオン容疑者はケガしている様子もないからで、現時点で見る限りではリオン容疑者が一方的に暴行したとしか見えないからです。
実際には、海老蔵がリオン容疑者やその「知人」に手を出しているかも知れないし、そうなればリオン容疑者に正当防衛が成立する可能性もなくはない。そこは今後の事情聴取を待つことになります。
しかし、海老蔵の顔の骨が砕けるほどの暴行を正当化するからには、事前に海老蔵側からよほど強度の暴行を受けている必要があるでしょう。もしそんな状況であれば、リオン容疑者またはその知人は救急病院に搬送されていたはずです。
海老蔵が被害届を出した上で、対応を弁護士に任せたのも、当然のことです。ことを大っぴらにせず、内々のうちに話をつけようとしたら、あれだけ一方的に殴られながら逆に示談金をふっかけられたおそれもあるでしょう。
ということで、本件は酒場のケンカにおいて一方が行き過ぎたというだけの話で、あとはリオン容疑者が正当防衛なのか過剰防衛なのか、それとも単なる一方的暴行なのか、今後粛々と捜査すればよい。それがこの事件に対する私の3番目の感想です。
それにしても、「会員制バー」であれば普通に考えて、常連が安心して飲めるところであり、店主はトラブルが起きないよう気遣わなければならないはずなのに、一部の芸能人(海老蔵を含む)が幅をきかせていたり、ヤクザまがいの人間が出入りしていたりすることが許容されるとは、東京とは不可解な街だなというのが、この事件に対する私の2番目の感想です。
そして、酒乱の海老蔵を擁護するつもりはありませんが、ヤマキのCMは好きなので、今後も自粛せずに流してほしいなというのが1番の感想です。
私も弁護士としてまだまだこれからの若輩者であり、知らないこと、これから勉強すべきことは、たくさんあります。それでも、弁護士登録後すぐのころと、今とでは、仕事ぶりには相応に違いが出てきたと思っています。
この10年で、自分自身、どこか進歩したところはあるか、と問われると、一つだけ言えるかなと思うのは、「わからないことはわからないと、はっきり言えるようになった」ということです。
弁護士である以上、日々いろんな法律相談を受けるわけですが、最初のころは、知らないことを聞かれたとき、「これを知らないのは恥ずかしいのではないか」という懸念があって、知っているふりをしながら曖昧に回答することも、なくはなかったです。
しかし、どんな仕事でも同じだと思うのですが、弁護士も10年やっていると、たいていの事件や相談は、すでに過去に同じようなケースを扱っている。だから、自身が経験した実例を踏まえて、回答することができます。
近年、たいていの知識はインターネットで検索すれば、それなりのことはわかるのですが、「こういうケースは実際に裁判するとこうなる」といった実体験というのは、なかなかネットでは伝えにくいと思います。弁護士の強さというのは、多くの事件を、その当事者とともに体験し、実際に解決したという、その点にあると思います。
もちろん、あらゆる分野に私が対応できるわけではなく、たまには知らない問題も出てきます。ただ、弁護士として当然知っているべき基本的な事柄と、知らなくても恥ずかしいことではない特殊な領域の事柄というのは、だいたい区別できるようになりました。
そして、わからないときは、上記のように、自信を持って「わからない」と言うわけです。そのわからない理由にも色々ありますので、もちろんそれも相談者に説明します。
本当に私が全く知らない場合は(滅多にありませんが)、相談料金は取らずに、別の弁護士を探すように言います。そのほか、法律の解釈が分かれているため結論が微妙だとか、弁護士でなく役所にでも問い合わせたほうが良いとか、いろんな場合があります。
私たちは一応法律のプロなので、法律に関することは、専門家以外の人にでもわかるように伝えるのが職責だと思っています。もしそれができない場合は、できないことを明確に伝えるのと、できない理由を説明すべきだと思っています。それがせめてものプロの良心であると。
そんなことを思いながら、11年目も日々の業務に邁進していきたいと考えております。