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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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ロプロの動産差押えについて書こうと思ったのですが次回にまわし、小室哲哉の公判があったのでその話を先に書きます。

弁護人によると、小室は詐欺事件の被害者に6億5千万を返済したらしい。その内訳は、だまし取った元金5億円、その利息が5000万円、慰謝料1億円とか。
利息の部分は正確には「約」5000万円で、1の位まで端数があるらしいので、5億円を取った日から返す日まで、法定利率の年5%で利息計算したのでしょう。

被害者側は、このお金を受け取りつつも、示談には応じないと言っているらしい。これがどういうことを意味するのか、それについて書きます。

私たち法律家は、「被害弁償」と「示談」を明確に区別しています。
「被害弁償」は、被害者に与えた実損害を賠償することです。5億円だまし取ったということであれば、その金額と利息を返すことがこれにあたる。

しかし犯罪の被害者としては、実損害を払ってもらうだけでは気が済まない。犯罪による「精神的苦痛」を与えられているからです。そしてそれを補うのが「慰謝料」です。

実害も精神的苦痛も賠償してもらったので、被害者が加害者に今後一切の請求をしません、この事件は私の中では清算されました、と被害者が言ってくれる状態、それが示談です。

では被害者はいくら受け取れば示談してくれるか、というと、それは個々の事件の被害者が決める。言わば被害者の「言い値」です(これは被害者の当然の権利です)。そもそも示談には一切応じません、という犯罪被害者も多いでしょう。

もちろん、被害者が加害者に慰謝料支払いを求めて民事訴訟を起こしたとすれば、言い値で賠償額が決められるわけではない。裁判で認められる慰謝料の金額は被害の規模に応じてだいたい決まっている。

しかし、民事裁判で認められるかどうかという問題と、刑事裁判において示談するか否かの問題は別モノです。被害者が「100億円払わないと示談しない」というならそれは自由です。

冒頭に書いたとおり、被害者は慰謝料1億円を受け取った。慰謝料としては個人的には充分な金額だと思いますが、被害者は示談に応じないとしている。

この先はあくまで一般論ですが、刑事事件の被告人とその弁護人としては、被害弁償だけでなく、できれば示談に持ち込みたい。そのほうが情状酌量の余地が高まるからです。
そこで、情状酌量を得たい被告人・弁護人と、その立場がよくわかっている被害者との間で、慰謝料額についての綱引きが行われるのも、よくあることです。

来月にはこの裁判も終結するらしいですが、それまでに示談に持ち込まれるのか、少しだけ注目しています。
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