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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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鳩山さんの辞意表明があったり、横浜で弁護士が刺殺されたりと、大変なことが起こっていますが、ひとまず前回の続き。
 
今回の京都地裁の判決が今後及ぼす影響について、最後に触れようとしています。
 
最高裁がある法律を違憲だとすれば、通常、その法律は国会によって改正または廃止されたり、内閣によって運用を変えられたりするのですが、今回は地方裁判所レベルの判決なので、直ちにそうはならないでしょう。被告である労基署は、おそらく控訴して、裁判が続くのではないかと想像します。
 
京都地裁は、「女性7級、男性12級は差が大きすぎる」と言っているだけで、ならば何級で計算すればよいかは言っていない。だから労基署としては「7級じゃないといけないんですか。8級じゃダメなんですか?」と疑問を持つでしょう。そのあたりは、高裁・最高裁と争われていく中で、妥当な算定方法が検討されるのかも知れません。
 
さて、さらに視野を広げると、この判決は、本事件以外にも、大きな波紋を広げる含みを持っているようにも思います。
すなわち、この判決は、ある時代には当然と思われた男女差も、時代により捉え方が変遷するのだと多くの人に意識させたのであり、そして多くの人が長年「その程度の男女差は当然だ」と思っていた事柄についても、慎重に見直しをさせるきっかけを作ったのです。
 
労災保険法ができた昭和22年ころであれば、男性が顔にケガしようが「男は顔など気にするんじゃない」と言われて終わりで、それで納得する人も多かったでしょう。でも現在は、「イケメン」がもてはやされるように、男性も顔が大事だという意識が浸透しつつある。京都地裁判決は、そういう国民意識を汲みとったのです。
 
それを考えると、今後、顔の傷に留まらず、いろんな男女差について考え直す動きが生じるかも知れない。
 
たとえば、お茶の水女子大学という、国立の女子大がありますが、国が作った大学であるのに、男子は入学したくても入学できない。これは国家による男女差別にならないか。
 
女子師範学校などの前身を経て、戦後この大学ができたのは、当時まだまだ女子の就学率が男子に比べて低く、だから国費を使ってでも女性の教育を充実させないといけないという要請が高かったためでしょう。しかし現在の男女の就学状況からみて、女性のみに国費を多額に注ぎ込まなければならないほどの落差があるとは思えない。
 
だから今後、お茶の水女子大学にぜひ入学したいという男子が、願書を出して却下され、お茶の水女子大学を訴えて、というような事件が…おそらく実際には起こらないとは思うのですが、それほどのインパクトを持ちうるのが今回の判決であった思います。
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