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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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地方裁判所が、注目すべき「違憲判決」を出しました。

ある男性が職場での作業中に顔に大やけどを負ったことについて、労災保険法は、男性の顔の傷に対する労災補償を、女性のそれに対するよりも安く規定しているのですが、それが憲法の「法の下の平等」に反するとして、京都地裁は、安い金額での給付決定を取り消しました(27日)。

顔の傷に対する補償や賠償の男女差については、当ブログでも過去に取り上げたことがあり、常識や社会通念からして、女性のほうが高くても当然だろうと書きました。こちら
上記の京都地裁判決は、そうは考えていないようでして、改めてこのことを検討したいと思います。
 
上記の裁判で、法律を作った国側は、女性への補償のほうが高い理由として、「女性は接客業に就く割合が高く、顔に傷があると社会的に制約を受けることが大きいからだ」と述べました(他にもあるけど省略)。
 
この点について京都地裁は、「男性であっても、法務従事者や美容師など、多数の人に接する職業に就くことが多いから、それだけで直ちに男女差を認めてよいことにはならない」と指摘しました。
 
「法務従事者」とは、私たち弁護士も含むと思われます。
確かに、今や法律相談に行こうという際にもインターネットで法律事務所の情報を調べることが当たり前に行われています。しかし一般の方々には、各弁護士の能力の差などわからない。そうなると結局、「見栄え」で判断する方も多いでしょう。
 
見栄えで損したり得したりすることは、女性だけでなく男性も同じです。だから京都地裁のこの点の指摘には、私も首肯するところが大です。
 
とはいえ、顔に傷があることによって負う社会的な制約や本人の精神的苦痛というのは、男女全く同じとは言えないと思います。
 
私自身を例にして言えば、私は小学生時代に木から落ちて左頬をケガして、その傷は今でも残っていますが、それが人生において差し支えを生じたことは全くありません。子供のころは「元気そうでいい」と言われたし、大人になってからも、人によっては「カッコいい」と言ってもらえることもありました。
 
しかし、女性の顔の傷を「かわいい」「美しい」「セクシー」と思える人は、おそらくいないのではないでしょうか。男性の場合と違って、「かわいそう」としか思えない。ことの善し悪しはともかくとして、正直そう思う人が多いからこそ、女性の顔の傷に対する補償金額は、これまで男性より多めに設定されていたはずなのです。
 
京都地裁の今回の判決は、それに一石を投じたと言えますが、京都地裁の真意は何か、その点の考察は次回に続きます。
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