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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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相撲界のスキャンダラス報道が相次いでいますが、今度は、琴光喜ら力士が野球賭博をやっていたとの報道がありました。
 
賭博は犯罪にあたるというのは、誰でも常識的にご存じかと思います。
 
私が子供のころ、志村けんと仲本工事が競馬のノミ行為(正規の馬券を買わずに賭けをすること)をして、いかりや長介から謹慎処分を命ぜられ、2、3か月ほどの間、いかりや・加藤茶・高木ブーの3人だけで「8時だョ!全員集合」のコントをしていたことがありました。
あの志村けんがテレビから抹殺されるとは、と子供心に衝撃を受け、賭博とはそれほど重大犯罪なんだなと思いました。
 
今回、改めて刑法の条文を見ますと、賭博をした者は50万円以下の罰金、とあり(刑法185条)、懲役刑まではないので、そんなに重い罪ではない。ただし、賭博常習者の場合は3年以下の懲役があります(同186条)。
 
賭博の定義は「偶然の輸贏に財物をかけること」を言います。平成7年に口語化される前の刑法にそう書いていました。「輸贏(ゆえい)」とはまず聞かない言葉ですが、「勝ち負け」を意味します。偶然で勝ち負けが決まることにお金やモノをかけるのが賭博です。
 
将棋やマージャンで賭けをするのは、昔から典型的な賭博とされています。プロ野球も、ある程度は実力勝負とはいえ、運や偶然の要素を排除できないから、賭博の対象になる。
 
ただ、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は、賭博にならない(185条)とされています。ゴルフやマージャンで負けたほうが昼ごはんをおごる、といったケースがその典型です。少額で、すぐ消費する程度のものなら、いちいち処罰されません。
 
だから、マージャンに負けて「1000円のランチ」をおごるくらいなら、おそらく問題はないと思うのですが、では「1000円の現金」ならどうか。
 
判例は、現金の場合は少額でも賭博と認める傾向にあります。昔の判例ですが、最高裁(昭和23年10月7日判決)は、花札で300円の賭けをした人に懲役6か月の刑を言い渡しています。
昭和20年ころの300円ですから、今の10倍か20倍は価値があるでしょうし、この人が常習者だったこともあるのでしょうが、お金を賭けることについて裁判所は厳しい姿勢を取るようです。
 
少々のお金であっても、賭けをしただけで、なぜ処罰されるかというと、昔から「国民の健全な経済生活の美風を損ねるからだ」と説明されています。とはいえ、賭博した本人同士が経済的に堕落するのはともかく、他人に迷惑をかけるわけではないので、余程あからさまなケースでない限りは摘発されていないように思われます。
 
今回の力士の野球賭博も、警視庁が直ちに逮捕や家宅捜査に踏み込むわけではなく、まずは相撲協会の自治に委ねる考えなのかも知れません。それが妥当であるようにも思います。
 
もっとも、相撲は神事であり、日本の国技であり、それに携わる力士には日本人としての模範を示してもらわなければなりません。
だから、琴光喜ら力士が野球賭博をしていたという事実は、志村けんが競馬のノミ行為をしていたという以上に、子供たちの心に悪影響を及ぼすでしょう。「健全な経済生活の美風を損ねる」云々より、そちらのほうが懸念されます。
 
相撲協会としては、いかりや長介が志村けんらに下したより厳しい謹慎処分を力士らに科すことで、自浄努力を果たしてほしいです。

(16日追記 志村けんと仲本工事が野球賭博をしていたというのは私の記憶違いで、ウィキペディアによると、競馬のノミ行為のようでしたので、それに基づいて一部訂正します。ノミ行為ですから刑法上の賭博罪でなく、競馬法違反となったようです)
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