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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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全面禁煙通達の続きです。

この厚労省の通知には、私たち国民に対する直接の拘束力はないと書きました。
 
ただ、神奈川県では一歩進んで全面禁止を条例で定めたようです。条例はその都道府県内では法律と同じ効力があり、県民を直接拘束しますし、罰則を定めることもできます。
こういう規制も、神奈川県民が選挙で選んだ県会議員が作った条例によるものだから、民主主義の観点から許されるという理屈になります。
 
以下は、そういう条例がない都道府県を前提にして書きます。
 
厚労省が求める全面禁煙を実現させるための方法は、前回も書いたとおり、地域の保健所が都道府県知事の意向を受けて、飲食業の許可を与える際に「全面禁止にしてくれ」といった「行政指導」を行うことによります。
 
行政指導とは、お役所人が国民に対し、強制するわけじゃないけどその意向に従わせようとすることです。強制じゃなくて「お願い」しているだけだから、法的根拠は不要です。
 
飲食店の許可を与えられるためには、きちんと調べたわけではないですが、所定の試験や講習を受けるとか、衛生面について一定の基準を満たすとか、明確な要件が定められているはずで、それをクリアできれば、本来は許可が与えられるはずです。
 
許可の条件として、「完全禁煙にしないとダメ」などということは、どこにも定められていない。健康増進法25条でも、「飲食店などの施設の管理者は、利用者の受動喫煙防止のための措置をするよう努めなければならない」という「努力義務」が定められているだけです。
 
だから保健所は、全面禁煙でないという理由で「不許可」という裁定を下すと、「法律に書かれていないことを理由にして、国民の職業選択の自由(憲法22条)を妨げた」ということで訴えられます。
 
不許可処分を出して訴えられるのも困るし、かと言って厚労省の通達は無視できない、ということで、「厚労省もああ言ってることだし、ここはひとつ、全面禁煙にしてもらえませんか」と指導するわけです。
 
繰り返しになりますが、これは強制じゃないから、イヤなら従わなければよい。「ウチはタバコを吸う客が多いから、禁煙などできない」と言っておけば足りる。それでもし不許可となったら、上述のとおり、司法の力を借りて行政を訴えればよい。
 
しかし実際には、そんな面倒なことを考える人はほとんどいないし、お役所とひと悶着しているうちに飲食店の許可を得るのが先延ばしになると、商売に支障が生ずる。だからたいていの人は、行政指導に従うことになる。
従ってしまえば、自らの意思で全面禁煙にした、という形になり、役所が後々訴えられることはなくなる、というわけです。
 
かように、今回の全面禁煙に限らず、法的根拠のあいまいなことでも、行政指導を通じて、いろいろ国民に押し付けられてきたのが実情です。
 
今回は行政指導に関する一般論になってしまいました。次回もう少し続く予定です。
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