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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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民主党の渡辺義彦という議員が、破産手続き中であるにもかかわらず、先日の衆議院選挙で比例代表として当選していたことが明らかになりました。

よく聞く破産とはどういうことかというと、債務超過(借金その他の負債が、その人の資産を上回っている状態)で、もはや返済の見込みがないということを、裁判所が宣言している状態を言います。

新聞(日経13日)によると、負債は1億4000万円、その中身は「亡くなった父親の負債」や「知人の保証人」などと本人は説明したとか(ただ、父親の負債は相続放棄すればよかったのであって、この説明は直ちには信じかねます)。

今年3月に大阪地裁に破産申請したそうなので、今ごろは、裁判所が「破産宣告」をして、破産管財人がこの人の資産や負債を調査しているあたりと思われます。
その後、最後に「免責」といって、負債を帳消しにしてくれる(その代わり、めぼしい財産は失う)宣言が出るのですが、「破産手続き中」と報道されているので、そこまで行っていないのでしょう。

さて、破産状態でも選挙に出て、国会議員になれるのかというと、これは可能です。

破産すると選挙権や被選挙権を失うといった規定はない。これらは民主主義の根幹に関わる重要な人権として憲法(15条)で保障されているので、「お金にルーズ」というだけで奪われることはない。
また、いったん国会議員になったら、その地位を奪われるのは、議院の除名処分(憲法58条2項)など特定の場合に限られ、破産で地位を失うという規定はない。

ちなみに、私たち弁護士は、破産すると自動的に資格を剥奪されます(弁護士法6条)。
その趣旨は、職業がら、他人(依頼者)のお金を預かることが多いので、お金にルーズだと困るということです。もちろん、社会的・経済的信用のない人に弁護士をやらせるべきでないという配慮もあるでしょう。
公認会計士法など、一定の専門職にも同様の規定があります。

じゃあ、国会議員はどうなんだ、と誰しも思うでしょう。
弁護士や公認会計士とはケタが違って、国家の財政を預かる人たちです。社会的・経済的信用は弁護士・会計士以上でないといけないように思われます。
その点はおそらく、「そんな人でも国民が選んだのだから」ということで、許される理屈なのだと思います。

ちなみに破産手続き中の渡辺議員、「自分の経験を社会的に役立てたい」とコメントしているらしい。

麻生総理はカップラーメンの値段を知りませんでしたが、渡辺議員はきっと知っているでしょう。「破産した人の気持ち」も、この人なら良くわかるでしょう。
しかし、そんな人が議員になって、過去の負債は帳消しにしてもらい、今後は国から多額の給料を受け取るわけで、それを思うと、今回の民主圧勝、本当にこれで良かったのか、と感じなくもありません。
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