忍者ブログ
大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

南堀江での子供の放置事件の直後から、大阪府は啓発のためのテレビCMを流しています。いわく、子供の虐待のおそれがあれば、間違っていてもいいから電話してください、とのことです。

ただ、以前に書いたように、うちでも子供(1歳7か月)はまだまだ泣きますし、それで誰かが行政に通報し、たびたび役所の人が来るということになると、「面倒だな」と思うのが正直な気持ちです。

犯罪を防ぐために行政が監視を強化し、社会全体がそれに協力することは、適切に行われる限りは望ましいことなのですが、その適切というのが極めて難しいのだと思います。

たとえば、数年前から、銀行のATMでお金を振り込もうと思っても、現金だと10万円以上の振込みはできないことになった。銀行の送金機能は、近年著しく低下しています。これは何のためかというと、国際的なテロ組織や暴力団などが資金洗浄(マネーロンダリング)を行うことを防止するために、法律等によりそうなっているのです。

テロ組織に多額の不正なお金が渡り、それがひとたびテロの資金になれば、何百人や何千人が死ぬかも知れない。しかし、日ごろ銀行を利用する人の中で、「テロを防ぐためだから、送金が面倒になっても当然だ」と心底おもっている人は、ほとんどいないのではないのでしょうか。私を含めて大半の人が、「面倒だ」「なぜそんな規制をするんだ」と感じていると思います。

役人は、根は真面目な人が多いので、「それが国際的な趨勢だ」「国民の世論だ」と言われると、どんどん規制を強化してきます。そしてそれは、少しずつですが間違いなく、私たちの生活を窮屈にし不便にしていきます。

今回のような虐待死事件でも、通報を奨励し、児童相談所等が積極的に動くことによって、本当に事件発生を防ぐことができるのであれば、充分に合理性はあると思います。

しかし、虐待の多くは自宅という密室での犯罪ですし、今回の事件も、行政の呼びかけを無視し、子供が逃げないように部屋にテープまで貼っていたという異常なケースです。これらをどこまで効果的に防げるかは、まだ未知数であると思えます。

私は基本的には、社会全体が虐待防止のためにもっと協力すべきであると思っているし、行政にも(少なくともいま現在よりは)積極的に動いてほしいと思っています。そのために、少々の面倒ごとは親がガマンすべきです。

それでも、行政の権限を強化せよ、国民はそれに協力せよ、ということだけを強調するのは問題であって、効果のほどもわからないのに、監視や規制のみがどんどん強化されていって良いのかどうかという懸念を、一方では忘れてはならないと考えています。
PR
先日のニュースで、40代の男性が女装して人前で性器を露出して逮捕されたという事件がありました。容疑者いわく、女性の格好をして恥ずかしいことをすると興奮する、とのことだそうです。
 
この人に限らず、仕事や人間関係のストレスで…などと言っては露出するオッサンが、定期的にと言っていいほど現れますが、全く理解できない犯行です。
 
私は、このニュースを聞いたとき、23歳の女性(下村容疑者)が、自らのブログやSNSサイトに「happyにならなきゃ!」などと書きつつ、その裏で2人の子供をマンションで置き去りにしていた事件を思い出してしまったのです。
 
冒頭の男性は、興奮を得たいがために性器を露出した。下村容疑者は、「happyになりたい」がために子供を見殺しにした。どちらも、「そんな動機でそこまでしないだろう」と言う点では同じであり、通常人には理解できない異常な犯行といえます。そして、実際に子供が2人死んでいる点で、下村容疑者のほうが明らかに犯罪としては重い。
 
それでも下村容疑者に対しては、一定の同情が寄せられているようで、児童相談所がもっと親身になってやれなかったのかとか、彼女も子供のころ親からネグレクト(無視)されていた被害者だとかいった声も聞かれます。
 
しかしそれなら、冒頭の男性だって、ストレスの多い社会ゆえにそんな行動に走ったのだ、だから彼も被害者だ、という声がもっと挙がっても良いはずなのに、そんな話は一向に聞かない。
 
もちろん私は、冒頭の男性が同情されるべきだとは全く思いません。ただ、下村容疑者の事件について、「社会のせい」だとか「彼女もかわいそう」とだけ捉えるのは、オッサンが性器を露出するのも社会のせいだ、と言うのと同様の誤りであると思うのです。
 
たとえば下村容疑者に対して、大阪市西区の区役所や警察が積極的に動いていたらとか、シングルマザーに対する社会的・経済的援助をもっと強めていたらとかいうことは、検討の余地はあるかも知れません。
 
しかし、下村容疑者は、当否はともかくとして風俗店で働いており、収入は悪くなかったはずで、経済的に困窮した挙句に子供を殺したというケースではないのです。
仮に大阪市西区の人が今回の事件を防いでいたとしても、この人はいずれ、自らが「happy」になるためには子供がうとましいと感じて、どこかで同じようなことをしていたような気がします。

次回以降に続く。
弁護士と相談するコツについて、シリーズ2回目です。
 
前回書いたように、弁護士にウソをつく人は少なからずいます。今回は、明らかなウソとまではいかないけど、事実をありのままに語ってくれない人が多い、という話を書こうとしています。こういう人は非常に多いです。
 
唐突ですが、私の好きな司馬遼太郎の小説「関ヶ原」に、こんなシーンがあります。
豊臣秀吉亡き後、豊臣政権の奉行であった石田三成は徳川家康を討とうとしますが、多くの武将は、徳川のほうについてしまう。
 
石田三成の側近であった島左近は、来るべき決戦に備えて、どれだけの武将が家康のもとに走ったのか、石田三成から現状を尋ねると、石田三成はこう答えます。
「今こそ、亡き太閤の恩に報いるべきときではないか」。だから、徳川でなく石田方につく「べき」だと。
 
島左近は、双方の戦力を計算した上で戦略を立てようと思っているのですが、石田三成は事実そのものを見ずに「こうあるべきだ」という話しかせず、島左近を絶望させます。
 
さすがに、実際の石田三成がそこまで現状分析能力を欠いていたとは思えず、これはリアリストの島左近と理想家の石田三成を対比させるための脚色だと思いますが、似たような話は、現実にも多い。
事実そのものをありのままに捉えるということは実際には難しく、人はそこに、自分自身の希望や理想を加えて解釈してしまうのです。
 
たとえば、「迷惑をかけないからと知人に頼まれて約束されて保証人になったのに、知人が銀行にお金を返さないから、銀行から請求を受けている」といった相談があって、その場合、弁護士として確認すべき事実は「保証契約書にサインしたか否か」です。これが決定的な事実で、サインしたか否かでその後の弁護方針が全く違ってくる。
 
しかし相談者は「絶対に迷惑をかけないと言われたのだ」(だからこのように迷惑をかけられるべきではない)という話に始まって、なぜ知人からそのようなことを頼まれたのか、その知人のためにどれだけのことをしてやったかという話にまでさかのぼって、うっかりしているとその人の一代記を聞かされたりします。
 
弁護士業の人々は、いろんな人のいろんな人生に興味を持っているので、そういう話も嫌いではないのですが、とはいえ、その人の相談に割ける時間は有限です。やむなく、一代記をさえぎった上で、必要な事実だけ聞くことになります。
相談者の中には、話をさえぎられることに不満な人もいますが、これは、その事件を速やかに解決するために必要な事実を、まずは確定させるためだと、理解してください。
 
小説の中で石田三成は、最後まで理想論にとらわれて、関ヶ原で敗れ、首を斬られます。そういう最悪の事態を防ぐためには、まずは「今」の事態がどういう状況なのかを明確にする必要があり、それを前提に戦略なり弁護方針なりを考えていく必要があるのです。
 
だから、聞かれたことに対しては、自分なりの解釈や弁解を加えず、事実そのままを答える。それが、短い相談時間で(つまり安い相談料で)、多くの成果を得るために最も重要なことなのです。
ブログ更新が1週間以上空いてしまいました。
 
7月のこの時期は、裁判所が8月の「夏期休廷」に入る直前のために裁判が立て込んで慌しいゆえでもありますが、私自身にとってネタとして興味をひかれるほどの事件がなかったゆえでもあります。
 
ということで、日々の事件とは別に、雑談を書きます。
今日は、弁護士と相談することになった際に、最大の成果が得られる方法について書こうと思います。弁護士に相談する際のコツとも言えます。
 
その秘訣は、一言でいうと「事実をありのままに話すこと」です。
何だそれだけのことか、と感じる向きもあるでしょうけど、実はこれが難しいことなのです。
 
最初から明らかに、弁護士にウソをつく人も、決して少なくありません(例:本当は不倫しているのに、「していない」という)。
もっとも、これらの人たちは決して、弁護士に悪意があって騙してやろうとしているわけではありません。弁護士にそう言っておけば、そのように言いくるめてくれると信じているのです。
 
しかし、弁護士とは、黒を白と言いくるめるのが仕事なわけではなく、法律と証拠に基づいて正当な主張を行うことが本分です。
そもそも、どんな事件であれ、ウソをつき通すことは困難です。「完全犯罪」というのが現実にはまずあり得ないように、人がやったことには必ず何らかの痕跡(つまり証拠)が残ります。ウソをつく人は、その証拠からは説明がつかないような不合理な弁解をします。
 
私も弁護士を10年ほどやっていると、依頼者がウソを言っているかどうかはだいたいわかるようになりました。その場合どうするかというと、「あなたウソ言っているでしょ」とは、さすがに言いません。相談に来た人は「お客さん」でもあるわけだし、何より「ウソでしょ」と言ったところで、頑なになるだけです。
 
仕方ないので、「あなたのその言い分は、裁判では通らないと思います」と告げて、それでも言い分が変わらなければ、裁判でもその通り主張することになります。そしてたいていは負けます。
 
自分に不利な事実があるときは、それをウソで隠すことなく、そのまま伝えるべきなのです。それなら弁護士も、それを前提として、まだ何らかの弁護のしようがあるのです。
 
と、書き出してみたら色々と他にも書きたいことが出てきましたので、パート2に続きます。
力士の賭博問題の続きを少々。
 
昨日、多数の力士が揃って記者会見で頭を下げるという、暑苦しい映像を見ました。
端っこのほうで頭をさげてる力士には、羽織袴でなく浴衣を着ている人もいて、これはパジャマで記者会見に臨んでいるのと同じじゃないか、いいのか? とも思いました。
 
冗談はさておき、ある新聞の世論調査では、来週に迫った名古屋場所を開催すべきでないとの意見は48%で、開催すべきだとの意見(41%)を超えた、とありました(本日の読売朝刊)。
この48%の人たちは、何に憤って、場所開催をやめよとまで言っているのか、私には正直なところ、理解しにくい部分もあります。
 
「賭博は犯罪行為であり、それをやったのが悪い」というのであれば、それは今後、刑事裁判で裁かれるべきことです。まだ各力士の言い分だってきちんと聞けていないし、それに、全く関係のない力士も含めて場所自体を中止せよというのは、とうてい法治国家で採りうべき考え方ではない。
 
だから、彼らが憤るのは、賭博自体よりも、暴力団とのつながりなのでしょう。
 
こういう話を聞くたびに、私が思い出す話があります。
私が弁護士になって間もないころ、大阪ミナミのバーで飲みながら、マスターと若い女性客の会話を聞いていました。どういう文脈だったかは忘れましたが、マスターは女性客に「医者と弁護士は友達に持っておいたほうがいいですよ」といったことを話しました(彼らは私が弁護士であると知らないので、何気ない会話だったのでしょう)。
 
その女性客は即座にこう答えました。「うん、あとそれから、ヤクザもね」と。
私は少しガッカリしました。世の中、何かあったら弁護士じゃなくて、ヤクザを頼ろうとする人が、まだまだいるのだなと。
 
その後も、似たような話はたくさんありました。
相談客に対して、この問題は法的にはどうしようもない、といった回答をすると、
「じゃ、○○組に頼むしかありませんなあ」と、平然と暴力団の名前を出す人も多く見ました。
 
国選弁護などでヤクザや元ヤクザの刑事事件を担当することもありますが、ありがちな話として、ヤクザが借金の取り立てに行き、恐喝罪で逮捕されるという事件をいくつか経験しました。その取り立てを依頼したのは、日ごろは普通に生活している一般市民です。
 
多くの人たちは、ヤクザや暴力団を嫌悪し忌避し、もし他人がそれに関わったりしようものなら轟々たる非難をします。しかし一方で、機会があったらそういった人たちとお近づきになって、一難あれば頼りにしたいと思っている人も、また多いはずなのです。
そのことの良し悪しは別にして、それが現実であって、だから暴力団の存在がなくならないのです。
 
果たして場所開催をやめよと答えた48%の人々の全てが、本当の意味で暴力団と全く縁のない生活をしているか、私自身は疑問に思っています。
 
少し前のブログで、厳しい処分で自浄努力を果たしてほしいと書きましたが、いまの状況は、あまりに世論なるものに過敏すぎて、性急で厳しすぎないかというのが、個人的な感想です。
力士の賭博問題の続きは後回しにして、サッカーの中継を見ていて少し寝不足となった頭で、単なる雑談を書きます。
 
少し前に、日本が打ち上げた惑星探査機「はやぶさ」が地球に戻ってきました。
この「はやぶさ」は、はるか遠くの小惑星に着陸した上で、7年くらいかけて宇宙をさまよった上、地球に帰ってきたそうです。
 
日本人は、スペースシャトルみたいに派手なものをドバーッと打ち上げることは苦手でも、こういう細かい仕事をやることにかけては、ものすごい技術を持っているようです。
 
このニュースを聞いたとき、私はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が2年連続優勝した話を思い出しました。
 
日本人は、西洋人とは体格や筋力が根本的に違うので、バカスカとホームランを飛ばすようなことは苦手でも、技術で相手の隙をついて、コツコツ点を積み重ねていくことは得意なようです。
その象徴が前回大会での韓国との決勝戦で、イチローがファールを重ねつつ、いい球が来るのを待ち、遂にヒットを飛ばした、というあの打席でした。
 
で、今回のサッカーのワールドカップの話です。
私は、日本人はサッカーが苦手な民族だと思っています。サッカーは野球に比べると、細かい技術で点を取っていくということが難しいと感じるからです。
 
それに何より、日本人選手は、反則すれすれで相手にぶつかっていくプレーは好まないでしょうし、相手にぶつかられたときに大げさに痛そうに転んでみせることもしなさそうです。しかし、実力が均衡しているチーム同士の対戦では、こういうラフプレーやパフォーマンスで差がつくこともありうるように思います。
 
それをもって、日本人は気迫が足りないと感じる向きもあるでしょうが、私としては、そんな品のないことをしないと勝てないようなスポーツであれば、日本人は勝ってくれなくて良いと思っています。
 
今回のワールドカップ、私は日本が予選リーグで惨敗すると予想していましたし、それで構わないと思っていました。予選を通過し世界のベスト16入りしたことは、素直に喜ばしいことだと感じます。
 
今回の日本人選手の方々の、何が良かったのか、また何が足りなかったのかは、サッカーが全然わからないし未だにオフサイドも理解できない私には想像すらできません。
しかし、サッカーにおいても、日本人らしいフェアプレーの精神を失わず、細かい技術を磨いて勝利につなぐことができるのであれば、今後の日本サッカーも応援していきたいと思います。
 
そしてまずは取りあえず、日本人として世界の舞台に出るんだから、金髪や茶髪はやめてほしいなあと思っています。
横浜の法律事務所で、男性弁護士が刺殺されるという事件がありました。離婚事件に絡んで恨みを買っていたとかいう報道もありますが、真相はよくわかりません。
 
約3年前には、大阪の法律事務所で女性事務員が殺害されるという事件がありました。(そのときの記事 旧ブログ
 
このときは、事件が大阪で起きたせいか、従業員に危害が加えられたせいか、大阪弁護士会の内部でもかなり危機意識が持たれました。弁護士の協同組合の中では、防犯用の催涙スプレーや盾を専門業者から大量に買い入れようかと言った話もあったと記憶しています。
 
今回は、弁護士本人が殺害されながらも、私の身の回りでは意外に騒ぎになっていないように感じています。弁護士自身は自分で身を守るしかない、と割り切っている弁護士が多いからかも知れません。
 
私自身の話でいうと、幸いにも、身に危害が加えられるような経験はありません。
離婚事件で妻側についていて、裁判所の廊下で相手の夫に詰め寄られたことはありますが、せいぜいその程度です。
 
あと、直接私に関わるわけではないですが、先輩筋にあたる弁護士とスナックで飲んでいて、事情は深く知りませんがその先輩弁護士を恨んでいるチンピラのような男と居合わせたことがありました。
そのチンピラが先輩弁護士に絡んできて、酒も入っているせいか次第に昂ぶってきて、先輩弁護士に詰め寄り、殴りかかるような勢いを示し始めた。
 
先輩弁護士はバーボンのグラスを置いて眼鏡を外すと、平然と「殴れ」とのみ言いました。
チンピラ相手に、激昂してみせるのも、弱みを見せるのも、相手を昂ぶらせるだけで逆効果だから、この対応は正解だと思っています。
 
その至近距離にいる私も、一応平然を装って見ていました。それでもチンピラが本当に殴ってきたら、昔、少林寺拳法をかじったときに習った「受け」で防げるように、右腕の脇を締めておきました。受けが間に合わずに先輩弁護士が殴られてしまったら、そこはガマンしてもらって(そのへん無責任ですが)、警察に電話できるよう、左手でポケットの中の携帯電話を探っておきました。
 
そのチンピラは、殴ってきませんでした。殴るぞと言っている人は、実際には滅多に手を出してきません。
しかし、それと裏腹に、本当に刺す人は黙って刺しにきます。横浜の刺殺事件も、詳しい状況はわかりませんが、いきなりに近い形で刺しにこられたようです。
 
とにかく、私たちは時に恨みを買い、時に刺されることもある事柄を扱っているのだということを改めて認識し、気を引き締めていきたいと思います。
そして亡くなられた我々の同業者の冥福を祈ります。
一般の相談者の中には、弁護士はスーパーマン的な特殊能力を持っていると期待している方が多い、という話を書こうとしています。
 
今週号の「週刊文春」にも記事がありましたが、最近、未公開株や社債への投資で儲かりますよと勧められ、出資したけど実は詐欺だったという事件が多いようで、うちの事務所にもよく相談があります。
 
そういう場合、出資先を訴えてお金を取り戻すことが考えられますが、計画的な詐欺のケースだと、相手が雲隠れしてしまって訴えようにも相手がどこにいるかわからないことが多い。
 
相談者の多くは、それでも弁護士に頼めば、相手の居場所をつき止めてくれて、隠し財産を見つけ出して差押えをしてくれる、と思っておられるのですが、残念ながら弁護士にはそういう特別な調査能力はありません。
 
弁護士も警察や検察と同じような捜査権限や組織力を持っている、と勘違いされている人もいますが、公務員であって国家権力を担う警察や検察と、しょせんは零細商店主に過ぎない弁護士とは、大きな力の違いがあります。
 
(全くの余談ですが、大阪地裁の横に数年前、総工費60億円の大阪弁護士会館が建ったとき、ある人に「あれは税金で建てたんですか?」と聞かれました。全く違います。大阪市福島区の検察庁の新庁舎は税金で建っていますが、弁護士会館は銀行からの借金で建てられていて、その返済は私たちが大阪弁護士会に支払う月会費から行われています)
 
今回は話があちこちに行きますが、改めてそんなことを考えていたのは、ここ最近の、民主党の小沢さんの起訴・不起訴についての報道を見たからです。
 
小沢さんの政治資金規正法違反の問題で、検察庁はいったん「不起訴」としたが、検察審査会は「起訴相当」と決議した。東京地検は改めて小沢さんを事情聴取したが、やはり「不起訴」となるようです。今後、検察審査会がもう一度「起訴相当」だと決議すると、小沢さんは「強制起訴」となる。
 
強制起訴となった場合、小沢さんを起訴し、裁判にかけるのは弁護士です。
つまり、検察庁が「この事件はとうてい起訴して有罪に持ち込めない」と言ってあきらめて投げ出した事件を、何の権力も組織も持たない弁護士が3名ほどだけ裁判所から選ばれて、検察官の代わりにその事件を起訴するわけです。
強制起訴という制度は、間違いなく弁護士の犠牲を前提として成り立っています。
 
もっとも、明石の歩道橋事故で強制起訴の検察官役に選ばれた神戸弁護士会の弁護士は、全く泣き言をいわず、自信を持って執務されているようです。
私もそれに見習って、未公開株の投資詐欺の相談が来た際には、可能な限りの調査や弁護を尽くしていきたいと思っています。
 
スーパーマンでない個々人のがんばりによって、弁護士制度が成り立っています。と、手前味噌なまとめ方をしてしまって恐縮ですが、今回はこのへんで。
 
お知らせ
一時的に戻ってきました。 左上に「裏入口」という小窓が出てくるかも知れませんが、当ブログとは関係ありません。おそらくアダルトサイトへの入口なので、クリックしないでください。
現在の来訪者数
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]