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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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前回、離婚の話をしたのに引き続いて、今朝「別れさせ屋」の事件記事を見たので、もう少し書きます(本日の読売朝刊)。
 
夫から、妻と離婚したいとの依頼を受けた「別れさせ屋」グループの男性が、妻と意図的に接触を図って「不倫」を偽装し、夫はそれを責めたて離婚に応じさせた。妻は後から「別れさせ屋」の工作であると知って、グループの男性に詰め寄ったところ、逆上され殺害されてしまった。
その男性は殺人罪で服役中で、妻側の遺族が、その「別れさせ屋」グループと、それを依頼した元夫に対し、賠償を求める民事訴訟を提起した、とのことです。
 
実態はよく知りませんが、探偵事務所で「別れさせ屋」を業務の一つとしているところもあるようです。今回はそのこと自体を云々するつもりはありません。
 
前回の話の繰り返しになりますが、「離婚したいが今後どうすればよいか」という相談はちょくちょくあり、それに対しては「まずは話し合いを、それでダメなら離婚調停を」と答えていると、書いたとおりです。
しかしたいていの場合、相談者が欲しいのはそういう回答ではなくて、「これから何をすれば有利に離婚できるか」ということです。
 
一般的な回答としては、「相手が浮気しているなら現場写真を撮る、殴られたなら病院に行って診断書をとる」程度のことは言えますが、そういった事情がない限り、「これをすれば有利になる」といった特別な方法は、何もありません。弁護士としてたくさんの夫婦の離婚に関わってきた者として、それは断言できます。
 
離婚に限りませんが、一般の相談者は、「弁護士は法律の『ウラ技』みたいなのを知っている」と期待していることが多いです。しかし弁護士は、ウラ技や術策を弄することはしないし、ありもしない事実をでっちあげたりもしません。そこは「別れさせ屋」と違うところです。
 
工作や術策は、どこかで破綻し、大きな報いを受ける可能性を常に含みます。
冒頭のケースでは、「別れさせ屋」を依頼した夫は、結果として元妻が殺害され、遺族から訴えられた。さすがに夫が妻の殺害を指示したわけではないでしょうから、賠償責任が認められるかどうかは分かりませんが、この夫は一生、このことを背負って生きていくことになります。この夫婦には娘もいたらしく、娘もいずれこのことを知るでしょう。
 
世の中は、小手先のウラ技や工作で思い通りに動かせるものでもない。それでもなお策を弄したい人は、報いを受けることを覚悟すべきです。
今朝の事件の記事を見て、そのようなことを考えました。
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連休ということで、週刊誌やテレビをぼんやりと眺めて過ごしています。
で、沢尻エリカの離婚騒動などを題材に、雑談的に書きます。
 
当事務所は、大阪の片隅で、主に地元の方々を相手に、細々と弁護士業をやっておりまして、そのため民事事件は通り一遍のことをしています。もちろん離婚事件も多数やりました。
 
かつては私も、頼まれて何度もコンパの幹事をして、そこで出会ったのがきっかけで結婚に至ったという夫婦は十指に余るくらいなのですが、仕事の上では、それ以上に多くの夫婦を離婚させてきました。
 
離婚がらみの法律相談はコンスタントにあって、「夫と別れたいのだが、今後どうすればよいか」という女性によく接します。聞いてみると、夫に不倫や暴力などの問題があるわけでもない。離婚に向けての話し合いを夫としたかと問うと、「いいえ」と。
 
こういうときの私の回答は決まっています。
「本当に離婚したいのであれば、まずは夫にそのことを伝えて、誠意を持って話し合ってください。夫が離婚に同意しなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立ててください。調停で話し合いがつかなければ、正式な離婚訴訟となりますが、夫側に特に原因がない限りは、離婚が認められないこともあります」と。
 
別居していると離婚が認められやすいという「迷信」を信じる人も多く、「夫のところに帰りたくない」と言う方もいますが、それに対する私の答えも決まっていて、
「暴力などの事情があればともかく、一方的に出ていっても有利にならず、むしろ不利に斟酌されるおそれが高いです」と言うことにしています。
 
沢尻エリカの離婚騒動は、事実がどうかは存じませんが、テレビの芸能ニュースなどでは、沢尻エリカが「夫がキモい」などと言い出して、夫のもとに戻らず、電話にも出ないとか。
 
それで離婚が認められるとしたら、たまったものではないでしょう。
男女を置き換えてみれば明らかだと思います。夫が外で愛人を作って、妻の待つ家にも帰らず、「ウチの嫁はキモい」などと公言してれば離婚が認められる、ということになれば、世の奥様方は過酷な状況に置かれます。浮気性の男たちは大喜びです。フェミニストの私としては到底容認できません。
 
ですから、沢尻エリカのケースは、夫側によほど問題がない限りは、裁判上は離婚が認められないでしょう。「キモい」かどうかは知りませんが、その人を夫と選んだのは自分自身なのです。むしろ夫側が沢尻エリカに慰謝料を請求できる場合にあたると言ってよいと思われます。
 
もっとも、妻から「キモい」などと公言されれば、私なら裁判を起こされるまでもなく離婚するし、おそらく夫のハイパー・メディア・クリエイターさんもそう考えるでしょう。
しかしこれはあくまで「異常」なケースなのであって、誰でも同じ行動を取れば離婚が認められるなどとは決して考えないでいただきたいと思っています。
少し前の新聞記事ですが、「弁護士が自己破産」という見出しを見ました(23日読売夕刊など)。
 
ニュースになるくらいですから、弁護士が破産することは、これまでは少なかったのだと思われます。私も聞いたのは初めてです。
大阪弁護士会の方だそうですが、弁護士は破産すると資格を失うので、弁護士会はこの人の登録を抹消したようです。
 
この方は、新聞記事によると不動産への投資なども行っていたらしく、それも原因の一つでしょう。しかし一般的に弁護士は、普通に仕事していれば、まず破産するようなことはありません。本業の不振が原因で破産した弁護士はこれまでいないはずです。
 
私たちの仕事は六法全書と電話があればできる、と昔から言われてまして、現代ならファクスとパソコンは必要でしょうけど、仕事自体にそんなにコストはかからない。
弁護士会に払う会費は安くないですが(私はひと月44,000円払っています)、それでも、月に10数万あれば、最低限の事務所は維持できるでしょう。
 
実際には、大半の弁護士はビルの中に事務所を借りて、職員を雇用しているから、それらの経費はかかるにしても、業績不振なら自宅でひとりでやればよい。
ということで、弁護士が自己破産というのは珍しいケースなのだと思います。
 
ただ、これまではそうだったのですが、もしかしたら今後は増えるかも知れません。冒頭の弁護士のように不動産投資に手を出していなくても破産するケースが、もしかしたら出るかも知れません。
 
その理由は、弁護士になるまでに借金がかさんでいる人が、今後、間違いなく増えるからです。
 
弁護士になるまでにいくらかかるか。
私の例で言うと、司法試験の予備校に2年ほど通って、教科書を買ったりして、ざっと60万~70万円くらいだったと記憶しています。幸い、自分の蓄えだけで乗り切ることができました。
 
しかし今は、試験制度が変わって、司法試験を受けようと思えば「法科大学院」に2~3年通わなければならなくなった。その学費が必要になります。
司法試験に受かれば、司法修習生となって研修を受けます。私の時代には司法修習生には公務員に準ずる給与が出ていましたが、今後はそれもなくなる方向のようです。
 
そういう次第で、聞いた話では、人によっては弁護士になるまでに何百万円の借金を背負っている人もいるとか。そしてそれに弁護士の人員増加による就職難が加わる。
数百万円の借金を背負っているのに、就職がなく、決まった給与がもらえるわけではない。
こういう状況は普通、「自己破産」を考えないといけないケースです。
 
これが近年進められてきた「司法改革」の結果なのだとすれば、改革自体を考え直す必要があるようにも思えてきます。
香川保一元判事のことについて書く、と言いつつ、しばらく空けてしまいました(毎度、更新頻度にムラがあってすみません)。
 
この元最高裁判事は、退官後、法務省の所管の下にある社団法人「民事法情報センター」というところに勤め、その後ほどなく、理事長になりました。
民事法情報センターとは、一般にはなじみが薄いですが、不動産の登記に関わる仕事をしていれば、誰でも知っています。
 
私は弁護士になる前、司法書士の資格を取って司法書士事務所に勤めていたことがあります(平成7年ころ)。
そのころ、「登記情報」という雑誌があり、これは私の知る限り、ほとんどの司法書士が買っていて、登記の手続き(書類の記載方法や必要書類など)に関して法務省が出した最新の通達が載っています。月1回発行で年間購読料は1万円程度です。
 
この、「登記情報」という雑誌を出版しているのが、民事法情報センターです。
今、この雑誌は、「登記インターネット」という、もう少し名前を考えれば良かったのにと思うようなタイトルの雑誌になって存続しています。
 
もう一つ、民事法情報センターが出している出版物で広く使われているものに「ブルーマップ」というのがあります。これは、日本の都市部の土地について、その住所(住居表示)と地番の対応を示したものです。
 
例を出して簡単に言えば、私の実家は、昔、大阪市東成区の「東小橋南之町○番地」にありました。これが地番です。実家の場所は変わっていませんが、今、実家の住所は「東小橋○丁目○番○号」になっています。これが住居表示です。
 
郵便を送る際には現在通用している住居表示で届くのですが、相続などで登記名義が変わる際には、昔ながらの地番が必要です。その地番が載っているのがブルーマップです。
 
私たち弁護士でも、訴えた被告がお金を返さない場合など、その人の土地に差押えの登記をするために、地番を調べる必要があります。
ブルーマップは法務局に備え付けてありますが、コピーすることはできず(なぜできないかは不明)、買おうとすると、大阪市なら24の区ごとにそれぞれ1冊のブルーマップがあり、1冊で2万数千円します。
 
考えてみれば非常におかしなことです。
国の行政上の都合で、昔ながらの「地番」を「住居表示」に変えておいて、訴訟手続をしようとしたら、裁判所は「被告の住所と、差し押さえる土地の地番が一致することを証明してください」という。それを証明するほとんど唯一の証拠はブルーマップですが、買おうと思えば高いお金が必要になる。
 
そして、そのお金は民事法情報センターの収益となり、そこから、香川元判事に1500万円という貸付が行われていたのです。
 
何のための貸付だったのかとか、報道されてから返済したらしいとか、新聞には載っていますが、そんなことはどうでも良い。元法務省のエリート、元最高裁判事が、保証人も担保もなしに、法務省の関係する法人から多額のお金を受け取っていたこと自体が問題なのです。
 
民主党の「事業仕分け」は、見世物的で好きではないのですが、どうせやるなら、このあたりを、ぜひ香川元判事を呼んでやっていただきたいと思っています。
最高裁の判決には、時に個人の「執念」がからむ、そういう話をしようとしています。
前回書いた「白鳥決定」は、間違いなく、再審の扉を広げたいという団藤重光判事の執念によるものです。
 
今回は、香川保一・元最高裁判事について触れます。この人は、裁判官・検事を勤めたあと、法務省でエリートコースを進み、昭和61年に最高裁判事になります。
 
この人が法務省時代に書いた「書式精義」という本は、不動産登記に関わる司法書士のバイブルであり、司法書士事務所にいけば、今でも必ず置いてあるはずです。
登記手続を受け付けるのは法務局で、その上には法務省があるのですから、法務省のエリートが書いた本は、お上のお墨付きであって権威を有するのは当然です。
 
その香川氏が最高裁判事をしていたとき、こういう事件を審理することになりました。
単純化すると、A・B・Cの3人が土地を共有していたが、Aが死亡した。Aには相続人はいないが、愛人がいる。Aの権利は誰に移るか、という事例です。
 
民法には、ある人が相続人なく財産を残して死亡した場合、その財産は、共有財産の場合は他の共有者のものになるという規定があり、また、特に縁故のある人(特別縁故者)がいる場合はその人のものになるという規定もある。
上記のように、共有者も特別縁故者も両方いる場合、どちらが優先するかについては、昔から争いがあった。
 
香川判事は「共有者優先説」を取り、「書式精義」の本の中でもそう書いていた。しかし、この事件の審理にあたった最高裁第2小法廷では、4対1(「1」が香川判事)の評決で「特別縁故者優先説」を取ることを明らかにする(平成元年1月24日判決)。
 
香川判事はその判決の末尾に、「多数意見には到底賛成できない」と、近年にしては珍しく激しい語調で長い反対意見を書いています。とにかく、香川説が最高裁で退けられたことで、絶大だった「書式精義」の権威は少し落ちたと言われました。
 
その後、こういう事件がありました。
ある人が遺言で、「自分の土地は、長男A、次男B、三男Cのうち、長男Aに相続させる」と書いた場合、これは「相続」なのか「遺贈」なのか。
 
細かい話が続いて恐縮ですが、相続と遺贈では登記手続にやや違いがあるし、何より、登記の際に払う税金(登録免許税)が違う。相続なら、その土地の価格の0.6%でよいが、遺贈は贈与の一種なので少し高くなり、約4倍の2.5%かかる。
 
考え方としては「相続というのはABC3人が平等にもらうことであって、特定の長男Aひとりがもらうのは遺贈だ」とするのが、民法学者の中ではおそらく優勢だった。
しかし法務局では、相続として扱う実務が通用していた。これは、登録免許税を安くしてほしいという要請を、法務局の窓口の役人が受け入れて、それを法務省も追認してきた、という経緯によるのでしょう。
 
そして平成3年、最高裁・第2小法廷は、法務局の実務を承認し、「相続と扱ってよい」としました(平成3年4月19日判決)。評決は5人の判事の全員一致です。
この裁判で裁判長を務めたのが香川判事で、今度は法務省の理屈で他の判事を押し切ったのでしょう。ここに香川判事の執念を感じます。
 
組織内抗争で一敗地にまみれたチョウ・ユンファが巻き返しを図って立ち上がる「男たちの挽歌」(1986年香港)を思い出してしまいます。もっともチョウ・ユンファは映画のラストで銃撃を受けて華々しく命を散らしますが、香川判事はこの判決直後に無事退官を迎え、その後は法務省所管の法人の理事に就任します。
 
今回、香川判事のことを書いたのは、この人が近年、その法人から、多額の無担保融資を受けていたことが明らかになったという記事を今朝見たからです(本日付け読売朝刊)。
このことは次回に書きます。
今回は全くの雑談でして、今さらながら、オリンピックについて思い返そうとしています。
 
オリンピックに関する報道を見ていて一番印象に残ったのは、最近のテレビの人は、選手に対して驚くほどバカな質問をするようになったということです。
 
女子モーグルの上村愛子選手はあと一歩でメダルに届きませんでした。その直後、ある女性のインタビュアーが、「モーグルの神様がいたら、何と言いたいですか?」などと聞いてました。
女子フィギュアの浅田真央選手に対しては、ある女性キャスターが、「もし時間が戻せるなら、競技のどの段階に戻りたいですか?」と聞いてました。
 
いずれも、聞いていて腹立たしいほどの愚問です。
オリンピック選手たちはいずれも、徹底したリアリストであり、競技に向けてどのように肉体を鍛え、高めれば、結果を出すことができるか、それを追求してきたはずです。神様とか時間を戻すとか、そんな空想などしたことないでしょう。
 
このような質問は、テレビの人が、その選手や競技について不勉強であるために具体的な質問ができず、そのため抽象的に、何となく深遠なことを聞いていると見せかけようとして、やっているわけです。
がんばっている選手には失礼極まることです。
 
私ごとに結び付けてしまい恐縮ですが、私は司法試験に一度落ちています。
不合格の通知を受けて失意のさなかにある私の前に、見知らぬ女がニヤけた顔でやってきて、「司法試験の神様に何と言いたいですか?」、「時間を戻せるなら、どの試験科目に戻りたいですか?」などと聞いてきたら、私はそいつを殴りつけていたでしょう。
 
これが今回のオリンピック報道で最も印象に残ったことです。
ちなみに二番目に印象に残ったことはと言いますと・・・、
 
藤田まことさんが亡くなった翌日、新聞の一面に藤田まことの写真が大きく載り、その隣に、同じくらいの大きさで乞食のような風貌の男が写った写真が載っていて、一瞬、何の記事だろうと思いましたが、よく見てみるとスノーボードの日本人選手だった、ということです。
 
ああいう見苦しい姿や振舞いも、他のがんばっている選手をバカにするものであって、汚いカッコでいたいなら、最初からオリンピックに色気など出さなければ良いのに、と思いました。
(重たいタイトルですが今回は雑談的な内容です)
民主党の小沢幹事長が追い詰められつつある感じです。政治資金規正法違反で、側近の国会議員や秘書が逮捕されました。
 
この事件の何が問題なのか。政治資金規正法は以前少し勉強したことがありますが、ややこしい法律なのであまりよく理解していません。
要するに、小沢さんは億単位のカネをもらってきちんと記録に留めていなかった疑いがあり、政治資金の範囲として許容されないカネを受け取っていたかも知れないということです。
 
最近の小沢さんは、マスコミにこの問題に関して聞かれても、非常に怖い顔をして黙りこんでいます。昨年の総選挙の前の民主党のテレビCMでは、あふれんばかりの笑顔で全国行脚していたのに、あれはウソだったのか、という思いです。
 
同様に、総選挙直後のころは、新しい政治に向けての理想を、あれほど朗らかに語っていた民主党の新人議員たちも、この問題に対して聞かれると頑なに沈黙しています。
政治というのは、それに関わる人々の人相を悪くしてしまう何かがあるのでしょう。
 
小沢さんは、今回の検察による側近の逮捕に対し、「これでは民主主義が危うい」といった趣旨の発言をしたそうです。
自分たちは総選挙で国民に選ばれた者だ、しかるに検察は司法試験に受かって官僚機構に入っただけの役人じゃないか、という意識があるのだと思います。
 
たしかに小沢さんたち民主党の人々は、昨年の総選挙で国民に選ばれました。
でも多くの国民は、テレビCMの中では全国を駆けずり回っている笑顔の小沢さんを選んだのであって、その小沢さんが実は何億円というカネをきちんと記録もせずに動かしていたり、側近が次々逮捕されてもダンマリを決め込んだりするような人だと分かっていれば、選挙の結果はきっと今と違ったものになっていたはずです。
 
民主主義をいうのであれば、鳩山さんがここで衆議院を解散し、再び総選挙を行うべきです。
内閣が衆議院を解散するのは慎重であらねばなりませんが、前回の選挙で争点にならなかった新たな問題が生じたときは、解散権の行使が正当化できると、たいていの憲法の教科書には書いています。今回は、小沢さんをめぐる政治とカネという、新たな問題が出たときにあたります。
 
小沢さんはかつて司法試験の受験生で、最終合格はしなかったけどマークシート試験には受かっているらしいので、それくらいは読んで知っているでしょう。それをして初めて、民主主義を唱えても許されるのだと思います。
前回の続きで、私が弁護士になってからの「00年代」の10年を総括します。
この間、短いようでいて、私の業務に関することでも色んな変化がありました。
 
最近の話では、「裁判員制度」の開始があります。制度自体の当否はともかく、刑事裁判における国民参加という、画期的な変革です。「裁判員」という言葉は、刑事訴訟法の学者である松尾浩也教授が作ったそうですが、こんな言葉は、10年前には当然、存在しませんでした。
 
10年前には「理屈としては知っているけど、積極的にやる人はほとんどいない」という状態だったのが、サラ金への「過払い金」の返還請求です。それが今や連日テレビで法律事務所のCMが流れていて、キレイなお姉さんのオペレーターが出てくるあたりは、かつて盛況だったサラ金会社のCMを思わせます。
 
「知的財産権」(特許権、商標権など)の保護も、ここ10年で急速に重視されるようになったように思います。東京には、平成17年、この手の裁判を専門的に扱う裁判所である「知的財産高等裁判所」なるものが出来ました。
少し前は「工業所有権」という、汗と油の臭いがしそうな名称で呼ばれていたのですが、「知的財産権」というと、いかにも都会的で、シュッとした弁護士が扱っていそうな雰囲気があります。
 
「法令順守」(または「法令遵守」)という言葉も近年、日常的に聞かれるようになりました。英語でコンプライアンス。
もともとコンプライアンスという言葉は、社会的職責を果たす、というニュアンスの言葉だったと理解しているのですが(誤解だったらすみません)、日本で訳される際に法令順守となってしまったせいで、法令にそってさえいれば良い、という解釈を多くの人に植え付けてしまいました。 その結果、何をするにも書類が増え、説明が長くなりました。
 
「個人情報」という言葉は、平成17年の個人情報保護法の制定以降、急速に普及しました。これによって、私がある事柄を調査するために関係機関に問い合わせしても「個人情報だから教えられない」と断られることが増えました。同様の面倒な経験は多くの方がされているでしょう。
 その半面、個人情報保護法があって良かった、助かった、というケースは、私が個人情報の重要性にうといだけなのか、ちょっと思い浮かびません。シュレッダー屋さんが儲かったことくらいでしょうか。
 
 10年間の総括などと言いつつ、書いていることは雑感の寄せ集めになってしまいましたが、この「10年代」も、時代と社会の変革にあわせて、新たな法的問題が現れることと思われます。今後もますます勉強してまいりたいと思います。
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