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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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裁判官の逮捕について刑事訴訟法的に考察しようと思っていたのですが後回しで、興味あるニュースに触れたのでそちらを書きます。小さい記事ですが、昨日の産経夕刊などに、
鳥取県で「人権条例 廃止へ」とありました。

差別、虐待、セクハラなどの「人権侵害」の申入れがあったとき、県が加害者に勧告し、従わなければ過料(罰金みたいなもの)が科せられるというもの。制定されたのは全国で鳥取県が始めてだけど、施行されずに停止されたまま、廃止を迎えるらしい。
私は廃止に大賛成です。

「人権宣言都市」とか「非核平和宣言都市」とか、そういう大げさなことを言う都市に限って肝心なことは欠落していて、道路がでこぼこで年寄りが歩き辛かったりする。
中身のない人間に限って抽象的なお題目を唱えるのが好きなのと同じです。

それに、職場で上司に差別やセクハラをされたとか、彼氏に暴行・虐待を受けたとか、そういう問題はそもそも「人権侵害」ではない。これは憲法をかじった人なら自明のことだけど、改めて書きます。

人権侵害というのは、公権力、つまり国や県などの公的機関が、私たち国民の自由を制約するときに生ずる。人権というのは憲法に定められていて、憲法は公権力を縛ることで国民の自由を守るためにあるからです。

だから会社の上司のセクハラとか彼氏の暴力などは「人権侵害」ではありえない。
もちろん、セクハラや暴力は違法行為です。それは民法上の不法行為にあたる。それに対しては民事裁判を通じて賠償金を請求するなどの救済手段が確保されている(暴行や性的被害なら刑事事件にもなる)。

「人権好き」な人は、民事事件レベルの問題を、何でも「人権侵害」「憲法問題」と言いたがる。個人がそれを言うのは自由だけど、それを法律や条例としてしまっては間違いが起こる。

たとえば人権条例が施行されたとして、ある会社である社員が問題を起こして減給などの懲戒処分を受けたとする。その人が県の窓口に駆け込んで、「私に対する差別に基づく不当人事だ」と訴える。で、県がその会社に対し「懲戒処分を取り消しなさい、そうじゃないと罰金ですよ」と勧告する。

そんなことになれば、これこそまさに、本来の意味での「人権侵害」です。
県(つまり公権力)が一私企業の人事権に介入し、しかも従わないと罰金まで科するというわけですから。

さらに、「人権でないもの」を「人権」にひっくるめて保護してしまうと、次に来るのは、「本当の人権」を「人権でないもの」と同レベルに軽んじてしまう社会です

たとえば中川前財務相(公権力側の人)が、「私のG7での酩酊疑惑を書き立てるマスコミはけしからん、私に対する人権侵害だから取り締まってくれ」と言い出して、政府がマスコミに報道規制を行う(表現の自由の侵害)、こういうことになりかねない。

何でもかんでも人権と言ってしまう弊害は場合によって取り返しのつかないことになる。
だからこんなバカな条例は廃止されて当然だと思うのです。
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無題
私も人権条例のような不明確な法律がなくなってよかったと思います。
今の日本人バランス感覚を信用できるようになりました。
よっちゃん 2009/02/23(Mon)16:40:52 編集
こんにちは
毎度コメントありがとうございます。
人権養護法案なんていうものが成立しないことを信じたいものですね。
山内 2009/02/24(Tue)09:49:48 編集
続き
あ、「養護」は「擁護」の変換ミスです。
山内 2009/02/24(Tue)09:52:03 編集
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