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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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少し前の話ですが、先週の新聞で、弁護士としては極めて興味ある民事事件の判決を読みました。

岡山地裁が、交通事故の被害者女性に認められる損害賠償の金額を算定するにあたって、その女性が性同一障害の方で男性として生活していたことを理由として、男性を基準とした(女性より高額の)損害賠償額を認める判決を出したと。

この判決を聞いて、どうお感じになりましたでしょうか。
同じ事故に遭っても、女性より男性のほうが認められる賠償額が高いということなのか、そもそも交通事故の損害賠償額はどう算定されるのか、といったことについて、触れてみたいと思います。

交通事故で後遺症が残ったりすると、その症状の重さに応じて「等級」が決まっており、それぞれの等級に従った慰謝料の金額が決められている。
(具体的には保険会社や弁護士会でガイドラインが存在する)

慰謝料(精神的苦痛の賠償)のほかにも、後遺症で仕事に支障が出ると収入が下がってしまう。それを「逸失利益」(いっしつりえき)といいまして、後遺症の等級に応じて、「年収の何パーセント」というふうに決まっている。

例えば年収500万円の人に「50%の逸失利益」が認められると、「年間250万円×67歳になるまでの残り年数」が賠償額となる。67歳というのは、平均的な人が働くことのできる上限の年齢です(実際はこれを一括払いしてもらうので利息分は差し引くことになるのですが、細かくなるので省略)。

このように、後遺症が残ったときの賠償額の算定には、「その人の年収」が重要な要素となる。
年収は、確定申告書とか源泉徴収表など公的なもので証明するのですが、中には証明手段がない人もいるし、主婦や学生は申告所得がない。
そういう場合に賠償額がゼロというのもおかしいので、「平均賃金」を根拠に算定することになります。

平均賃金は、厚労省がデータを集めていて、性別や学歴に応じていろんなパターンの平均賃金があり、その中からその被害者に一番近いものを採用することになる。
この場合、男性のほうが女性のほうより平均賃金が高いのは、データ上も明らかな事実です。男性のほうが賠償額が高いのは、事実を反映したものであって、差別的な意図はない。

冒頭の事故の被害者は、戸籍上は女性なのに実態は男性として活動していたということです。
新聞記事によると、ホルモン治療もしていたとのことで、男性として就労していた実態もあったのでしょう。
客観的基準を重視しつつその中でなるべく実態を反映させようとした判決として、注目に値すると思われます。

次回、損害賠償額の算定における男女差について、もう少しだけ触れる予定です
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