大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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小沢さんの政治資金問題は不起訴で終わりかと思っていたら、市民団体が検察審査会に起訴させるべきだと申入れをしたらしい。
検察審査会は、少し前に触れたとおり、検察が事件を不起訴で終結させた際に、それでよいかを審査する機関で、以前はその決議には強制力がなかったのが、最近、一定の要件のもとで強制力に起訴されるという効果が与えられるようになった。
ですから、市民団体の申入れを受けた東京の検察審査会の判断によって、小沢さんが今後起訴される可能性も出てきたわけです。
小沢さんは、東京地検特捜部の捜査が身辺に及んだとき、「こんなことは民主主義社会においてあってはならない」と声を荒げました。
検察の動きを、国民から選ばれた審査員が審査するのが検察審査会であり、これは極めて民主的な制度です。小沢さんの好きな「民主主義」に基づいて、その小沢さんが今後起訴されることになるとすれば、皮肉なものです。
今回は、小沢さんの事件というよりは、この検察審査会のことが本題です。
検察審査会の決議に強制力が付与されたということは、検察の民主的統制、という観点からは画期的な法改正なのですが、いくばくかの懸念もあります。
今回の例で言えば、検察審査会に対し、起訴相当の決議をしないように政治的圧力がかかることはないか。小沢さん自身はさすがにそんなことはしないでしょうけど、その取り巻きの人や支持者らが働きかけをすることも考えられなくはない。
もし起訴相当の決議をしたら、審査員たちはその後、地元の民主党支持者にいじめられたりしないか。
検察審査会の判断に強制力がなかったころは、こんな問題はなかったのです。検察審査会の決議はあくまで「勧告」であって、起訴するかどうかは検察が決めていた。
だから審査員も、「いやあ、あの事件を起訴した(または起訴しなかった)のは、検察の判断であって、私たちがそうさせたわけじゃないんですよー」と、言い訳ができた。
自らの判断に強い効力が与えられるということは、その判断をする人に重い責任が課せられることを意味します。そして、今回の事件みたいに、政治的な意味あいを持つケースだと、審査員が政争に巻き込まれてしまうというおそれもある。
審査員になる人には気の重い話ですが、検察審査会には適切な判断を期待するとともに、「民主主義」大好きの民主党が間違ってもその決定に介入したりしないよう、注意していくべきでしょう。
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