大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ブログ更新が3日あいた間に、道頓堀「大たこ」立退きの逆転判決、横浜事件の刑事補償決定、小沢さん不起訴、朝青龍の暴行事件と引退、うちの息子が「バイバイ」をするようになったなど、注目すべき事件が多々起きていますが、ひとまず前回の続きです。
刑事事件の時効を廃止せよという意見は、一見して誰にでもわかりやすい。
殺人事件の被害者の遺族の悲しみは癒えることなく、犯人逮捕に執念を燃やす刑事がいて、もう少しで逮捕に結びつきそうなのだけど、時効が来て捜査が打ち切られて、犯人がどこかで高笑いしている。ドラマに出てきそうだし、現実にもあると思われます。
そんな状況を見れば、誰だって、時効なんていらないというでしょう。
しかし、一見不合理に見える制度であれ、それによって守られてきた「目に見えない利益」があるはずであり、制度を廃止するからには、そのメリット・デメリットを慎重に比較する必要があります。
時効廃止の「メリット」を検討するためには、上に書いたドラマのような状況が、現実のケースとしてどれくらい存在したか、挙げてみるべきです。
そしてそれらのケースで、犯人逮捕ができないまま時効をむかえてしまった理由は何なのか、時効を廃止することによって、犯人が逮捕できた可能性はどの程度あったのか、それを検証する必要があります。捜査の怠慢が理由なら、時効を廃止しても意味がないからです。
そして、時効廃止の「デメリット」も考える必要がある。すぐに思い浮かぶのは、冤罪のおそれです。
すでに当ブログでも同じ話をしましたが、ある日突然、身に覚えもないのに、30年も40年も昔の殺人事件の容疑者として逮捕されるおそれがある。やってないならアリバイを出せと言われても、30年前の何月何日にどこで何をしていたかなど、証明できる人はいないでしょう。
でたらめなDNA鑑定で無期懲役判決を受けた菅家さんの例は記憶に新しいですが、将来、わけのわからない「ナントカ式鑑定」といったものが開発され、「ナントカ式鑑定では30年前の殺しはお前がやったと出た」と刑事から言われたら、たまったものではありません。
菅家さんの事件だって、明治や大正時代ならともかく、鑑定は平成2年に行われているのです。今後も似たようなことが「科学的捜査」の名を借りて行われないという保証はない。
さらに、前々回に触れたとおり、検察審査会制度の議決が強制力を持つようになったため、検察審査会の判断で何十年も前の事件が蒸し返されることだって考えられます。
これまでは時効制度によって、私たち一人ひとりが、目には見えないところで、こういうことにならないよう守られてきたのです。
法務省の調査では、時効廃止に賛成という人が90%程度にのぼったそうですが、本当にそれでいいのか、もっと慎重な意見にも耳を傾けるべきであると考えます。
PR
お知らせ
一時的に戻ってきました。
左上に「裏入口」という小窓が出てくるかも知れませんが、当ブログとは関係ありません。おそらくアダルトサイトへの入口なので、クリックしないでください。
現在の来訪者数
リンク
最新記事
(09/08)
(01/24)
(01/06)
(01/06)
(01/02)
(08/02)
(07/30)
(07/28)
ブログ内検索
アクセス解析