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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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マイケル・ジャクソンが遺言書を残していたとか。
新聞等でその内容や写真が報道されていますが、日本の遺言制度とは違うところもあるようなので、その点に触れてみたいと思います。

まず大きな違いですが、マイケル・ジャクソンの遺言は、写真で見ると、ワープロで打たれたものに、自筆でサインした体裁を取っています。
日本では、自分で遺言を書くときに、この体裁を取ると無効になります。自分で行う遺言(自筆証書遺言)の場合は、その全文と、日付と署名を手書きする必要がある。
なお公証役場に行って公証人に頼めば、きれいにワープロで打った遺言(公正証書遺言)を作ってくれます。

ではマイケル・ジャクソンはどんな遺言を書いたか。また日本で同じような遺言を書いたとしたら、それは有効になるのか。

「遺産は482億円である」
これは日本でもアメリカでも、意味はないでしょう。本人がどう言おうが、死亡時に存在する財産から負債を引いたものが遺産になる。

「遺産は『マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト』に移す」
これは有効で、日本でも同種のことが可能です。遺産を、特定の個人や法人に委ねることは認められている(信託法2条、3条)。

「遺言執行者はジョン・ブランカ(弁護士)と、ジョン・マクレーン(知人である)」
有効です。遺言執行者(遺言にのっとって遺産わけの仕事をする人)も、本人が遺言で指定できる。

「私の子供は3人で、他に子供はいない。前妻との婚姻は解消されている」
これは無効です。その人の子供が誰か、妻がいるかどうかは、戸籍の記載やその他の客観的事実から決まるのであって、遺言に書くことで決まるわけではない。

「子供の後見人は母キャサリンで、母が亡くなったら友人のダイアナ・ロスに任せる」
未成年の子供の後見人を指定することは可能で、日本でも有効です。ただ、第1候補、第2候補まで決めることができるかどうかは微妙です(調べていませんが、第1候補が亡くなったら、家庭裁判所が選任するのではないかと思います)。

「前妻には相続させない」
これは無効です。前妻、つまり離婚した配偶者には、日本法では相続権がもともとありません。また、上記のとおり、その配偶者が戸籍から除かれていなければ、いくら亡くなった本人が「妻はいない」とか「相続させない」と書いたとしても、妻の身分が認められ、相続権が発生します。アメリカではどうなっているのか知りませんが。

ということで、マイケル・ジャクソンにならって自分も遺言を書いてみようかな、という人は(ブログ読者にはいないと思いますが)、気を付けてください。
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