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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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マイケル・ジャクソンが亡くなりました。
(ちなみにマイケル・ジャクソンといえば、お酒好きの私にとっては、同姓同名のウイスキー評論家がいて、そちらを思い浮かべてしまうのですが、こちらのほうは2年前に亡くなっています。それはともかく)

各紙、マイケル・ジャクソンの死亡記事の中で、全盛期の活躍ぶりと、晩年の奇行に触れていましたが、中でも私が引っかかったのは、児童虐待の容疑で刑事裁判を受け、無罪にはなったものの、多額の弁護費用を要し、それが没落のきっかけの一つとされている部分です。

その弁護士はいくら報酬を取ったのだと、そういう下世話な興味もわきますが、自分を護ってもらうために弁護士に依頼して、それで経済的に困窮してしまうとしたら、これこそまさに本末転倒です。

日本ではさすがに、「弁護士に費用を払うために家が傾いた」という話は、聞いたことがないように思います。
お金さえ払えば凄腕の弁護士を雇うことができ、それで無罪判決を勝ち取れるというのは、いかにもアメリカ的です。

私の所属する大阪弁護士会にも、刑事事件の凄腕と呼ばれる弁護士が何人もおりますが、失礼ながらどの弁護士も、さほど儲けているとは思われず、くたびれたスーツを着て、警察署や拘置所へ走り回って容疑者や被告人と面会しています。
高い能力がありながら、安い給与で公設の法律事務所に在籍し、金銭的余裕のない人の刑事弁護に奔走する人もいる。
大阪に限らず、それが日本における刑事弁護の風景であると思います。

近年の司法制度改革で、こういった風景が今後、アメリカ的になることが予想されます。
弁護士の数が増えて、ある程度は競争が生じることになる。経済界は、競争によって弁護士費用が安くなって歓迎するでしょうけど、かわりに、刑事事件のような経済的効率の悪い仕事を受けていると競争に負けるから、扱わなくなる弁護士が増えるのは間違いない。

一方で、一部の金持ちが捕まった場合は、カネの力で刑事弁護に精通した一握りの優秀な弁護士を雇うことができるようになる。

そして遂に始まった裁判員制度のもとでは、アメリカの陪審員裁判と同じように、弁舌やパフォーマンスに長けた弁護士が、素人の裁判員を丸め込んで無罪判決を勝ち取ることがあるかも知れない。

日本の司法改革が、司法の場にもアメリカ流の市場原理主義を取り込むのが目標だというのであれば、マイケル・ジャクソンの事件で垣間見たことが、日本の刑事司法の行き着く姿かも知れません。
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