大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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鳩山総理の元秘書が政治献金規正法違反で起訴された事件で、3月29日、検察側は「禁固2年」の求刑をしました。
今回はごく基本的な話ながら、この「禁固」という刑罰について触れます。
(なお条文の上では、禁「錮」という字が使われているのですが、常用漢字でないためか、報道などでは禁「固」とされています。ここでもそれに従います)
懲役も禁固も、刑務所に収容されて自由を奪われる刑罰です。
懲役刑は、字面のとおり、懲役は「懲らしめのための労役」が科せられ、刑務所内の作業場で一定の仕事をやらされます。懲らしめとはいえ、実際にはその作業を通じて手に職をつけて、ちゃんと社会復帰してもらうという目的もあります。
一方、禁固刑は、刑務所に収容されるものの、労役がないため、働かなくてよい。
なぜ労役がないかというと、これには政治的意味があります。
昔風の説明をしますと、犯罪には大きくわけて「破廉恥罪」と「非破廉恥罪」があります。
「破廉恥」(はれんち)と言われると「ハレンチ学園」なんかを思い出してしまって、「わいせつ系」の犯罪だと思いがちですが、もともと「破廉恥」とは人倫や道徳に反することを意味するのであって、わいせつ系に限らず窃盗や暴行傷害などの犯罪を広く含みます。
「非破廉恥罪」とは、破廉恥でない、名誉犯的な意味を帯びます。政治犯罪の多くはこっちに該当するとされています。
政治犯の典型として、(近年はまず耳にしませんが)国家の転覆を図る「内乱罪」(刑法77条)というのがあります。この条文には、死刑や禁固刑が定められていますが、懲役刑はない。
これは、個人の利得や快楽を目的としたのでなく、その人なりに国家・社会をより良くしようと考えてした行為ということで、犯人とはいえ名誉を重んじ、「懲らしめのための労役」はさせないという趣旨です。
(時代劇でも、盗賊などは斬首されますが、敵方の武将は名誉を重んじて自ら切腹させます。そういう処遇の違いは、日本に限らず昔からあるようです)
もっとも、現行の日本刑法は、名誉犯ばかりでなく、「犯情が悪質でないので懲役させるほどでない」犯罪にも禁固刑を定めます。
たとえば故意の殺人は死刑か懲役刑ですが、業務上過失致死(故意でなく過失で死なせた)であれば、懲役刑、禁固刑、罰金から選択することになっています。
ちなみに、刑務所にいながら働かなくてよいというのは、それはそれで時間を持て余すと想像されます。そのため、禁固刑の人でも労役を申し出れば作業に就くことは可能で、その申出をする人がけっこう多い、と聞いたことがあります。
鳩山総理の元秘書が起訴された政治資金規正法は、刑罰として禁固刑か罰金を定めており、ざっと見たところ懲役刑はないようです。これは、政治犯として名誉を重んじる趣旨か、犯情が悪質でないと考えたためか、私は存じません。
しかし何より、この一件でもっとも破廉恥なのは、秘書が起訴されても「知らなかった」としか説明しない鳩山総理であるように思えます。
しかし何より、この一件でもっとも破廉恥なのは、秘書が起訴されても「知らなかった」としか説明しない鳩山総理であるように思えます。
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