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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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昨日で役所も御用納め、裁判所の動きも新年までないでしょうから、当分雑談を続けます。

さて世の中、すべての事柄においてますます「スピード」が求められるようになっています。
旧ブログのころから将棋の話をよく例えにしますが、将棋の世界でも、対戦においては少ない時間と手数で勝つのが強さの証と見られることが多い。

ところが、そうではないという人もいる。淡路仁茂という棋士は、長時間ねばりにねばって最後に勝つのが美しいのだと考えておられて、誰が言ったかその棋風は「長手数の美学」と呼ばれている。

私たちの扱う裁判や紛争といったものも、一般的に言えばスピード解決するのが望ましいのですが、中には、時間をかけてこそ解決できることもあります。

裁判員制度を控えて、刑事裁判は「早く易しく」処理するのが良いとされつつありますが、拙速な審理がときに問題を残すことがあると、少し前の広島女児殺害事件の話で書いたとおりです。

タレントの羽賀研二の詐欺・恐喝事件の裁判では、大阪地裁は無罪判決を下しました。
週刊誌の報じるところによると、あれは長期裁判の末に羽賀研二に有利な発言をする証人を弁護人が見つけ出し、法廷で証言させたのが一つの決め手になったとか。
これも、もし長期裁判をやっていなかったら、大阪地裁は重要な証言を落としたまま結論を出していたことになります。

民事事件でも同じことがいえます。
私の事務所でも、トラブル発生当初は感情的な憤りもあって「すぐに相手を訴えてほしい」と興奮気味の依頼者がやってくることもある。でも訴えたところで、民事裁判は判決が出るまで早くて数か月、長くなれば2、3年やそれ以上の期間がかかる。

さすがに2、3年も同じテンションで憤り続けることのできる人はいない(少なくとも私は見たことがない)ので、裁判をやっているうちに紛争当事者がお互いに疲れてくる。
そうすると、「徹底的に争う」という最初の意気込みも収まって、ある程度のところで「和解」が成立する。そしてそれが結局、長期的に見れば妥当な解決になっていることが多い。

裁判所での民事裁判の処理も、もたもたしているように見えて、あれはあれで当事者に冷静になる機会を与えるきっかけになっているわけです。

そういうことで、依頼を受けた事件の処理にあたっては、一般的にはスピードを大切にしつつも、人の紛争はスピードだけで解決しないこともあることを念頭に、冷静な処理を心がけていきたいと思っています。
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