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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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JR西の脱線事故で、歴代の3社長が、検察審査会の決議に基づいて「強制起訴」されました。

検察は彼らをいったん不起訴にしたのですが、(ここでも述べたとおり)近年の法改正により検察審査会の決議に一定の強制力が与えられたことで、検察の判断が覆されたわけです。
 
検察はこれまで、「必ず有罪判決を取れる」という確信がない限りは起訴しませんでした。
それでも、有罪か無罪かが微妙なため検察が慎重になって起訴しなかった事件の中にも、裁判にかけてみれば有罪が認められていたというケースは、これまでにもそれなりに存在したと思われます。
 
今回の制度改正は、本来なら有罪判決が下されるべきなのに検察がメンツを考えて不起訴でうやむやにした場合でも、きちんと裁判にかけて、公明正大に白黒つけてもらえるという、一定の意味はあると思います。
 
しかし、今回のJR社長の起訴が妥当だったかどうかについては、個人的には疑問に感じています。
 
もちろん、事故を起こしたことの責任は、運転士個人のみでなく、企業自体に問われるべきです。そのための制度は昔から存在しています。使用者責任(民法715条)がそれで、運転士が事故を起こしたことの賠償責任はJR自体に問うことができる。
 
問題は、金銭的な賠償を企業に求めるのとはまた別に、社長個人に、懲役刑などの刑事責任を負わせる必要があるか否かです。
 
それを肯定するなら、たとえば会社の営業マンが勤務中に交通事故を起こした場合、社長も刑務所に行かないといけなくなります。それを一般論として認めてしまうと、企業活動に計り知れない打撃を与えることになるのは明らかです。
 
そしてこれまでは起訴・不起訴の判断を、プロとしてのキャリアと能力を持つ検察官が、自ら責任を持って決めたことが最終決定になったのですが、これからは、検察審査会を構成する一般市民が「多数決」で決めることができるようになったわけです。
 
この制度改正が良かったのかどうか、私個人は疑問なしとしませんが、ひとまず今後の運用を見守りたいと思います。

いずれにせよ、JR社長の刑事責任を問う裁判が始まったわけで、今回の検察審査会の判断を裁判所がどう受け止めるかに注目したいと思います。
 
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