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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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東京地検による小沢さんの事情聴取について書こうと思ったのですが、同じ話題が続くのを避けて、今朝の日経から。
国際離婚の際に、子供の養育権について国際的なトラブルになっていることが多いという話です。
 
日本の民法では、夫婦が離婚すると、未成年の子供に対する親権は、夫婦のいずれか一方が取ります。ところが、外国では、離婚後も親権は双方の親にあるという制度も多いようで、(きちんと調べてはいないですが)先進国では日本のような「単独親権」のほうが少数のようです。
 
では、日本人と外国人が結婚したり離婚したりするときに、どっちの国の法律が適用されるかというと、日本には「法の適用に関する通則法」という法律があって、それによって決まります(詳細は省略)。でも外国にもその国なりの制度や法律があるはずなので、国際的な問題について各国の規定がちぐはぐにならないよう、国家間で条約を取り結んで決めておく必要がある。
 
で、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」という長い名前の条約によると(条約の名前はたいてい長いです)、離婚に際して、父母どちらが子供を監護するにふさわしいかが判断されるまで、「元の環境においておく」ということになっているそうです。
 
これは具体的に何を意味するか。
たとえば、日本人同士の結婚で、夫が愛人を作ったり、妻に暴力をふるったりするので、妻が耐えかねて、幼い子供の手を引きながら「実家へ帰らせていただきます」という状況は、ザラにあるでしょう。私自身、弁護士として似たような状況をいくつも経験しました。
 
国際間でこれをやるとどうなるか。たとえばアメリカ人の夫と結婚し、アメリカに在住していた日本人妻が、同じように子供と一緒に日本の実家へ帰ってきたとする。
これは「元の環境(アメリカ)」から引き離したことになり、上記のハーグ条約に反する。
その結果、アメリカ国内で妻が「誘拐犯」として指名手配されるという、日本人としてはちょっと考え難いことが実際起こっているのだそうです。
 
私は個人的には、離婚後の親権は今の日本民法の「単独親権」でよいと思っています。そして現実として、大半のケースでは母親が親権を取ります。それでよいと思います。
 
離婚調停の場で「親権を取りたい」という男性は少なからずいますが、その多くは、養育費を支払いたくないから、「ポーズ」として言っている(養育費を払うくらいなら自分で子供を引き取る、という交渉材料にしている)だけです。離婚後の親権を引き受けようという真摯な覚悟を持つ父親は、少なくとも私は見たことがありません。

私の狭い経験はさておき、「共同親権」というものが日本でうまくいくとは思えません。ハーグ条約の理念の良し悪しはともかく、日本での実情や常識には合わないでしょう。
日本はこの条約を締結しておらず、先進諸国からは締結を迫られているみたいですが、家族関係という非常にナイーブな問題まで「グローバル・スタンダード」にあわせる必要はないと思います。
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(重たいタイトルですが今回は雑談的な内容です)
民主党の小沢幹事長が追い詰められつつある感じです。政治資金規正法違反で、側近の国会議員や秘書が逮捕されました。
 
この事件の何が問題なのか。政治資金規正法は以前少し勉強したことがありますが、ややこしい法律なのであまりよく理解していません。
要するに、小沢さんは億単位のカネをもらってきちんと記録に留めていなかった疑いがあり、政治資金の範囲として許容されないカネを受け取っていたかも知れないということです。
 
最近の小沢さんは、マスコミにこの問題に関して聞かれても、非常に怖い顔をして黙りこんでいます。昨年の総選挙の前の民主党のテレビCMでは、あふれんばかりの笑顔で全国行脚していたのに、あれはウソだったのか、という思いです。
 
同様に、総選挙直後のころは、新しい政治に向けての理想を、あれほど朗らかに語っていた民主党の新人議員たちも、この問題に対して聞かれると頑なに沈黙しています。
政治というのは、それに関わる人々の人相を悪くしてしまう何かがあるのでしょう。
 
小沢さんは、今回の検察による側近の逮捕に対し、「これでは民主主義が危うい」といった趣旨の発言をしたそうです。
自分たちは総選挙で国民に選ばれた者だ、しかるに検察は司法試験に受かって官僚機構に入っただけの役人じゃないか、という意識があるのだと思います。
 
たしかに小沢さんたち民主党の人々は、昨年の総選挙で国民に選ばれました。
でも多くの国民は、テレビCMの中では全国を駆けずり回っている笑顔の小沢さんを選んだのであって、その小沢さんが実は何億円というカネをきちんと記録もせずに動かしていたり、側近が次々逮捕されてもダンマリを決め込んだりするような人だと分かっていれば、選挙の結果はきっと今と違ったものになっていたはずです。
 
民主主義をいうのであれば、鳩山さんがここで衆議院を解散し、再び総選挙を行うべきです。
内閣が衆議院を解散するのは慎重であらねばなりませんが、前回の選挙で争点にならなかった新たな問題が生じたときは、解散権の行使が正当化できると、たいていの憲法の教科書には書いています。今回は、小沢さんをめぐる政治とカネという、新たな問題が出たときにあたります。
 
小沢さんはかつて司法試験の受験生で、最終合格はしなかったけどマークシート試験には受かっているらしいので、それくらいは読んで知っているでしょう。それをして初めて、民主主義を唱えても許されるのだと思います。
昨年末に書いた「メッセンジャー」の黒田の暴行事件、黒田が釈放されました。
暴行を受けたとされるガールズバーの店長と示談が成立したこともあり、検察は黒田を「不起訴」つまり刑事裁判にかけないことにしたようです。
 
私は、メッセンジャーのファンというわけではないですが、土曜日の昼間にメッセンジャーがやっているラジオ番組がけっこう好きで、土曜出勤した際には事務所でよく聞いているので、個人的には早く復帰してほしいと思います。
 
でも今回の事件で吉本興業は、黒田を当分の間、謹慎処分とするとか。
不起訴という結果は、深夜の公園で全裸になった草なぎクンと同じです。草なぎクンはその後すぐに芸能活動に復帰しましたが、もし黒田の謹慎が長引くようであれば、「世の中、『顔』の違いで扱いも異なるのだ」と理解しておきましょう。
 
それにしてもこの暴行事件の事実関係は、未だによくわかりません。
 
暴行のきっかけは、25万円の請求に黒田が怒ったこととされていますが、この請求は妥当だったのか。
店側は「ドンペリ」(高級シャンパン)を何本か開けたと説明しており、とすれば、この金額はやむをえないでしょう。私も経験しましたが、北新地のそれなりのクラブで同じことをすれば、100万円を超えることもありますので(なお、経験したと言っても払ったのは私ではありません)。
 
一方、サントリー角瓶のハイボールを何杯か飲んでいただけ、という証言もあるようで、だとすると25万円の請求はぼったくりであり、暴行事件のきっかけを作った店側の落ち度も否定できないことになる。
 
さらに、殴られた店長のケガの程度が、当初は顔面骨折で全治2か月の重症、と報道されていたのが、実は顔のケガは以前からあったもので、今回の暴行でのケガはせいぜい2週間程度とか。店長が、ケガの程度についてウソを警察に申告していたとすれば、なお悪質ということになります。
 
では、黒田が逆に、この店長の責任を追及することはできないのか。
もしこの店長が、黒田を告訴していた(正式に告訴状を提出し、裁判にかけることを求めていた)場合は、虚偽告訴罪(刑法172条、10年以下の懲役)にあたる可能性もある。
おそらくそこまではしていないと思うので、警察の事情聴取にウソを言うだけなら、犯罪にはあたりません。
 
それでも、黒田が17日間も留置場に勾留されたのは、重傷の容疑がかかったことが理由の一つであるのは間違いなく、したがって黒田は民事上、ウソの申告で不当に長く勾留されたことについて、店長に対し慰謝料の支払いを求めることは可能と思われます。
 
もっとも、示談が成立しているということは、今後この事件については「お互いに言いっこなし」という合意が成立しているので、実際に店長が責任追及されることにはならないでしょう。
 
被害者側も相当に怪しげなケースでしたが、そんな相手であっても、少しでも手を出してしまえば相応の制裁を受けるのだ、ということを教えてくれる事件でした。
前回の続きで、私が弁護士になってからの「00年代」の10年を総括します。
この間、短いようでいて、私の業務に関することでも色んな変化がありました。
 
最近の話では、「裁判員制度」の開始があります。制度自体の当否はともかく、刑事裁判における国民参加という、画期的な変革です。「裁判員」という言葉は、刑事訴訟法の学者である松尾浩也教授が作ったそうですが、こんな言葉は、10年前には当然、存在しませんでした。
 
10年前には「理屈としては知っているけど、積極的にやる人はほとんどいない」という状態だったのが、サラ金への「過払い金」の返還請求です。それが今や連日テレビで法律事務所のCMが流れていて、キレイなお姉さんのオペレーターが出てくるあたりは、かつて盛況だったサラ金会社のCMを思わせます。
 
「知的財産権」(特許権、商標権など)の保護も、ここ10年で急速に重視されるようになったように思います。東京には、平成17年、この手の裁判を専門的に扱う裁判所である「知的財産高等裁判所」なるものが出来ました。
少し前は「工業所有権」という、汗と油の臭いがしそうな名称で呼ばれていたのですが、「知的財産権」というと、いかにも都会的で、シュッとした弁護士が扱っていそうな雰囲気があります。
 
「法令順守」(または「法令遵守」)という言葉も近年、日常的に聞かれるようになりました。英語でコンプライアンス。
もともとコンプライアンスという言葉は、社会的職責を果たす、というニュアンスの言葉だったと理解しているのですが(誤解だったらすみません)、日本で訳される際に法令順守となってしまったせいで、法令にそってさえいれば良い、という解釈を多くの人に植え付けてしまいました。 その結果、何をするにも書類が増え、説明が長くなりました。
 
「個人情報」という言葉は、平成17年の個人情報保護法の制定以降、急速に普及しました。これによって、私がある事柄を調査するために関係機関に問い合わせしても「個人情報だから教えられない」と断られることが増えました。同様の面倒な経験は多くの方がされているでしょう。
 その半面、個人情報保護法があって良かった、助かった、というケースは、私が個人情報の重要性にうといだけなのか、ちょっと思い浮かびません。シュレッダー屋さんが儲かったことくらいでしょうか。
 
 10年間の総括などと言いつつ、書いていることは雑感の寄せ集めになってしまいましたが、この「10年代」も、時代と社会の変革にあわせて、新たな法的問題が現れることと思われます。今後もますます勉強してまいりたいと思います。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 
昨年末は慌ただしく過ごしていて、ブログに「今年の総括」的な文章を書くこともできませんでした。
その年末にテレビを見ていてようやく気付いたのですが、昨年は西暦では2009年で、「00年代」という10年間の区切りの1年だったのですね。私は普段、西暦をあまり使わないので、全くそういう意識を持っていませんでした。
 
皆さんは過去10年をどう回想され、そしてあらたな2010年代に向けて、いかなる思いをはせておられるでしょうか。
 
私の弁護士登録は平成12年、西暦では2000年なので、私にとって「00年代」は、私の弁護士としての歩みそのものということになります。
その間、弁護士としての独立開業や、私生活では結婚に第一子誕生と、この10年は私の人生の中でも重大なイベントが多かったです。
 
本業においては、さして自慢すべきほどの働きをしてきたわけでもありません。
それでも10年間(正確には現時点で9年と2か月)、何とかかんとかやっておりますと、今では事務所に持ちかけられる相談のうち9割8分は、すでに似たような事件をやったことがあって、自信を持って当たれることが増えてきました。
 
今後の10年間は、この経験をより深化させて、より迅速で適切な事件処理ができるように心がけたいと思います。
 
なお当事務所では、今年2月をめどに、新人弁護士が入所予定です。
仕事をさぼってブログを書いている所長の私よりも、活躍してくれるものと期待しております。これをきっかけとして、事務所での業務を質量ともに高めていければと思います。
 
ということで、今年もよろしくお願いします。
 
明日以降、新たに書くほどの事件がなくて、かつブログ更新する暇があれば、私なりのこの10年間の総括でも書いてみようと思っています。
大阪の漫才コンビ・メッセンジャーの黒田が傷害容疑で逮捕されました。
宗右衛門町のガールズ・バーで友人と飲んでて約25万円を請求されたのがきっかけだと報道されています。
 
殴られた店長は顔面骨折の重傷で、それほどの殴打をしたのが黒田か友人かは分かりませんが、両方とも手を出していたのであれば「共同正犯」であり、顔面骨折の責任(傷害罪)は両者に及びます。
 
当初黒田は、横にいた友人が突然手を出したと供述していたようですが、本当にそうなら黒田には暴行の意思も行動もなかったので、共同正犯の責任は負いません。もっとも、現場で「やってしまえ」って感じで目で合図をしたとか、そういった意思疎通が図られた場合は、共同正犯となることもあります。
 
かように、ちょっとしたはずみで、結果すべてに責任を負わされてしまうというのが、共同正犯の怖いところです。これでもし店長が死んでしまうと、傷害致死の責任を負います。
 
こんなことにならないためには、こういう場面では手も出さない、手を出すそぶりも見せない、というのがよいのです。というより、そもそも、お酒を飲むときには、わけのわからないお店に行くべきではない。
 
ただ、もし仮に、飲みに行った先で、25万円も請求されたらどうすべきか。
お金を持っているのであれば、支払ってさっさと出ましょう。その上で、二度とその店には行かない、ということでよいと思います。
 
ボラれた、という思いが払拭できないのであれば、警察に通報に行くか、または後日、その店あてに内容証明郵便でも送付して、「25万円の請求は不当利得だからカネ返せ」とでも通告してやればよいでしょう。
 
では、手持ちのお金で支払えない場合はどうすればよいか。その場合は、「そこまで高額になるとは思っていなかったので持ち合わせがない、支払えないので、無銭飲食の詐欺で警察につき出してほしい」とでも言っておけばよいのではないか、と思います。
 
ぼったくりバーであれば、警察沙汰になってはむしろ困る。もし警察につき出されても、最初から料金を踏み倒すつもりではなく、請求が予想外に高額なために払えないというだけなら、詐欺の故意が認められないため、犯罪にはなりません。
東京あたりでは過去に実際あったようですが、こういうときにキャッシュカードを渡して預けるとか、そういう要求はのんではいけません。
 
不当な要求に対しては、穏やかに聞き流しつつ、出るところへ出ましょう、という対処がよいのだと思います。相手の要求どおりにしてもダメだし、かといって相手に激昂してみせるのは、その場ではカッコいいかも知れませんが、今回の黒田のようなことになってしまうおそれが大きいです。
 
なお、私自身は、飲みに行くときには馴染みのお店しか行きませんので、今回のようなことにはならないと思っています。ここで書いた対処法でうまくいくかどうか、私は実証する機会がないと思いますので、どなたか機会があればやってみてください。あくまで自己責任で、ということでお願いします。
鳩山首相が、自身の政治献金問題について、偽装献金への関与を否定する「上申書」を、東京地検に提出したそうです。私自身、よくわからない話ですが、解説を試みます。
 
上申書とは何かというと、国家機関に何らかの連絡や報告をする際に出す文書のことです。私も、担当している裁判について裁判所に事務連絡をする際に、上申書を提出することがあります。
(もっとも、上申書とは字の通り、「上に申しあげるための書面」を意味し、「国家=お上」という意識に基づくネーミングであって、私はあまり好きではありません)
 
鳩山首相の「上申書」の内容は、故人名義での献金や、母からの数億円の贈与について、首相自身は「関与していない」という趣旨であったそうです。
よくわからない部分は多くありますが、とりあえず以下2点に触れておきます。
 
まず、犯罪への関与が疑われている人、世間ではこれを「容疑者」と言いますが、容疑者に対して検察が事情聴取しようというときに、「上申書」だけ出せば取調べに応じなくてもよいなどという話は、一般的にはありえない。
 
さらに不可解なのは、上申書の内容について鳩山首相が「憶測を呼ぶから何も話さない」と言っている点です。
「関与していない」というのであれば、それを堂々と話せばよいのです。いや、首相という立場にある以上、国民の政治への信頼を損なわないように、話す義務があるというべきです。
 
話さない、というのなら、話さないことを前提にこっちで憶測するのも勝手だと思うので、以下、私の憶測です。
 
鳩山首相は、偽装献金や贈与税の脱税に、関与しています。
検察としては、首相を逮捕することで国政に混乱をきたすことはさすがに気が引けるが、しかし、首相が「私はやってない」と言い張ると、検察のメンツにかけても逮捕せざるをえない。
 
とはいえ検察官も役人ですから、首相は法務大臣を通じて、検事総長に対し、逮捕させないよう圧力をかけることもできる(検察庁法14条、「指揮権の発動」)。
 
そこで検察は、上申書の提出という特例で済ませることにした。
その際、「やったことを認めてくれるなら、逮捕もしないし、その内容は明らかにしない」と首相に約束し、首相のメンツを保つとともに、首相に「貸し」を作った。
 
だから、検察へ提出した上申書は、「関与した」という内容になっているはずです。
 
いきなり話が小さくなりますが、私自身、司法修習生として大阪地検にいたとき、こそ泥や痴漢を取り調べる経験をしており、その際、やったことを認めて供述調書にサインしてくれるなら、逮捕も起訴もせずに穏便に済ませたいのだけど、やってないというのなら裁判に持ち込んでハッキリさせざるをえない、という状況が何度かありました。
 
今回は、そういうことが国家規模で行われたのだな、と勝手に憶測しています。
唐突ですが、当ブログの趣旨は、身近な法的問題を、専門家以外の方になるべくわかりやすく伝えるという点にあります。そのため、専門家が見れば不正確な部分もあるでしょうけど、あまり細かな議論まで踏み入ることはしません。
 
と、そこまで書いておいて、今回は、前回書いた話題について、少し細かな議論を加筆しようと思っています。民主党が、天皇陛下の中国副主席との会見をゴリ押しした件についてです。
 
小沢が「天皇の国事行為は内閣の助言と承認に基づいて行うから問題ない」と言ったのは、憲法の条文に「形式的には」合っている、と前回書きました。
 
これに対して、新聞等に出てくる識者などの見解によると、天皇が外国人と会見するのは、「国事行為」ではなく「公的行為」であるから、内閣の助言と承認は必要ない、だから小沢はハナから間違っている、との指摘もあります。
 
このどちらが正しいかについて検討します。
(このあたりで面白くなくなってきた方は、今回は読み飛ばしてください)
 
天皇の「公的行為」というものから説明しないといけないのですが、天皇陛下は、憲法に定められた「国事行為」(その内容は憲法6条・7条をご確認ください)を行うだけではありません。
 
公務の合間には、ご飯を食べたり、悠仁さまや愛子さまと遊んだり、大相撲を見物したりされるでしょう。これらは「私的行為」であって、誰に口をはさまれることもありません。
 
他に、国事行為でもないけど、かと言って全くの私的行為でもなく、何らかの公的性質を帯びる行為もあります。これが公的行為です。たとえば、国会開会時の「お言葉」とか、正月の一般参賀などがこれにあたります。
 
国事行為でないから、内閣が助言と承認を行うわけではなく、宮内庁が天皇の公的行為を取り仕切ることになります。もっとも、宮内庁も役所の一つであり、役所のトップは内閣だから、内閣が間接的に公的行為を補佐することになります。
 
だから、天皇が中国副主席と会見する行為は、国事行為と解しても、公的行為と解しても、内閣が直接または間接にコントロールしうることには変わりはありません。
 
ただ、純粋な条文の解釈としては、前回の記事では、憲法7条9号の「外国の大使・公使の接受」にあたると書きましたが、考えてみれば大使・公使とは外交交渉など明確な目的を持ってきた人を指し、物見遊山に来ただけの中国副主席は大使・公使と言えない。
 
せいぜい「外国の要人」であって、それとの会見は、識者の言うように「公的行為」に留まるであろう、と思えます。だから前回の記述を訂正して、小沢の言ってることは「形式的にすら」憲法に合っていないとしておきます。
 
(法学部生向けに注。私的行為以外はすべて国事行為だとする見解も存在しますが、少数説でしょうし、少なくとも従来の政府見解は、公的行為の存在を認める象徴行為説に立っていたはずです)
 
いずれにせよ、憲法上、内閣は天皇の国事行為または公的行為にコントロールを及ぼしうるのですが、時の与党が自己都合で天皇の行為をコントロールすることなど、憲法は想定していないはずであり、民主党は今回やってはならないことをしたという私の考えについては変わりありません。
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