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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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押尾学の事件を離れて、保釈制度の解説になりつつありますが、ここまで書いたのでついでにもう一つ書きます。保釈の際の身柄引受についてです。

被告人が保釈されるためには、保釈の請求書とともに、「身柄引受書」という書面を裁判所に提出する必要があります。
これは、被告人の親族や知人が、「この被告人を監督して、裁判の日はちゃんと裁判所に行かせます」という趣旨のことを約束して、署名捺印するものです。これがないと、保釈は許可されません。

押尾学の場合は、矢田亜希子に離婚されたので、父親か誰かが身柄引受人になったのでしょう。

(話はそれますが、押尾学が勾留されているときに、矢田亜希子はどうやって離婚したのかわかりません。裁判離婚はもっと時間がかかるからありえないし、協議離婚にしても離婚届には押尾学もサインしないといけない。いつの間にサインしたのか、すでにサインして矢田亜希子に渡してあったのか。ご存じの方はご教示ください)

身柄引受人は何をするかというと、その役割は上記のとおり、裁判にちゃんと行かせるのが役割です。文字通り、被告人の身柄を引き受けて、一緒に住まないといけないということはない。

では、被告人が逃亡してしまった場合、身柄引受人はどうなるのか。いかなる責任を追及されるかというと、実は特に何もペナルティはありません。
身柄引受人の義務はあくまで、精神的、道義的なものであって、それが果たせなかったとしても、人生幸朗さんみたいに(古いですが)「謝ったらしまいやがな」で済みます。

そういう存在ではあれ、身柄引受人になろうという人がいるのは、その被告人に、「支え」となり「救い」となる人がいるということで、保釈するか否かについてやはり重要な要素なのだと思います。

では、親族や知人に身柄引受人になる人がいないとき、担当の弁護士に身柄引受人になってもらうことはできるか。
身柄引受人の資格には法律上の制限はないので、これはできます。実際、そういうケースもあるし、私自身、身寄りのない被告人に頼まれて、過去に一度だけ身柄引受人になったことがあります。

幸い、その裁判は最後まで無事に終わり、その被告人には執行猶予がつきましたが、本来の身柄引受の趣旨からすると異例のことなので、今後はやらないつもりです。

ということで、当ブログ読者の方には直接的には縁のない話だと思いますが、保釈のお話はひとまず終了です。
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押尾学の保釈に関して、保釈保証金のことについて今しばらく書こうと思ったのですが、一般的な話しは以前、小室哲哉の事件に絡んで、ほとんどのことを書いておりました。
(こちら。旧ブログへ)

上記の過去の記事にも書きましたが、保釈保証金は、きちんと裁判を受ければ(判決の内容にかかわらず)そのあと全額返してくれます。ただ、裁判の途中で逃亡すると没収されるというペナルティがあって、それによって逃亡を防ぐのです。

今回、押尾学が保釈保証金をどこから集めてきたかは知りませんが、400万円くらいなら親族が用意したのではないかと思います。
一部報道では、保釈保証金を立て替えてくれるところがあるので、あの押尾学が「借金」する形での保釈となるのではないか、とも言われていました。

今回はこの、保釈保証金の立替えについて触れます。

保釈の許可は出たがお金を納められない人のために、一時的に保釈保証金を立て替えてくれるところがあるというのは、以前から聞いておりました。今回インターネットで調べてみると、社団法人や株式会社など、複数の組織があるようです。以下とりあえず「立て替え業者」と呼びます。

保釈保証金は、裁判のあとに返還されるから、それを立て替え業者に返せばよい。利用者が負担するのは、何パーセントかの「手数料」だけです。便利な制度ではあります。

ただ、私自身は、自分が担当する刑事事件で、立て替え業者を利用したことはないですし、今後も利用しないと思います。

保釈保証金は、被告人が自分で用意するからこそ、裁判をきちっと受けないといけない、逃げてはいけない、という気持ちになる。
たとえ自分で用意できなくても、身近な親族に立て替えてもらうなら、まだいい。被告人としても、親族を裏切らないために裁判を受けようという気になるし、それに、そこまでしてくれる親族がいること自体、その被告人にはまだ「救い」があると言える。

しかし、立て替え業者を利用した場合は、そういう効果は発生しないように思えます。

「親族からの借金はきちんと返したいけど、サラ金業者からの借金は踏み倒したい」という考えの人を、債務整理の相談に際してたくさん見かけます。
保釈保証金に関しても、立て替え業者には迷惑かけても平気、だから実刑判決になりそうな場合は逃亡してしまえ、保釈保証金が没収されても構わない、と考えてしまいがちになるように感じます。

いずれにせよ、私の事務所では利用したことがないので誤解や偏見もあるかも知れませんが、保釈保証金は自ら納めること自体に意味があると思います。

次回、保釈の「身元引受人」のことについて触れる予定。
押尾学の保釈に関して、もう少し書きます。

よくテレビなどを見ていると問題とされているのが、同じ部屋にいた女性が死んでいるという重大な事案なのに、なぜ保釈されたのか、ということです。

それは、今回起訴されたのが麻薬取締法違反(使用)だけで、女性が死んだ件では逮捕も起訴もされていないから、ということに尽きます。
裁判所としては、女性が死んだ事件はないものとして扱わないといけない。麻薬使用だけでも悪質ではありますが、保釈されてもおかしくはない事案だと思います。

ではなぜ、女性が死んだ事件は取り上げられていないのか。
芸能事務所が警察に圧力をかけたなどと疑う人もいるようですが、それは考えられません。
警察や検察、つまり国家権力というのは地上最強の実力(暴力を含めて)を持つ組織であり、一芸能事務所が圧力をかけられるような相手ではありません(それに、押尾学を守るために国家権力を敵に回そうって人もいないでしょう)。

答えは一つで、女性の死の責任を押尾学に問えるか否かが微妙だからです。

ここで適用が考えられる条文は、「保護責任者遺棄致死罪」です(刑法219条、205条、3年以上20年以下の懲役)。

これが適用された有名な事案としては、
ヤクザが13歳の女の子をラブホテルに連れ込んで、セックス目的で女の子に覚せい剤の注射をしたところ、女の子が中毒症状で苦しみ出し、ヤクザはそれを放置して逃げてしまったため、女の子が死んでしまった、というケースがあります(最高裁平成元年12月15日判決)。ちなみにこのヤクザの判決は懲役6年です。

押尾学に「保護責任」があったか。それを「遺棄」(放置)して死なせたか。冷静に検討すると、かなり微妙なのがわかります。

被害者は報道によると、30歳前後のホステスで、いい大人です。亡くなったことは残念でかわいそうだけど、そもそも不用意に押尾学と「密会」などすべきではなかった。
MDMA(麻薬)は誰が入手したかは知りませんが、押尾学が無理強いして飲ませたとは考えられず、女性の意思で飲んでいるはずです。

その状況で「保護責任」が発生するか、やや疑問が生じます(もちろん、道徳的には保護してやるべきだけど、刑法上の責任を問うには、上記のヤクザのケースと比べるとやや弱い)。

「遺棄」したかというと、いちおうはマネージャーに相談して、(本当かどうかはまだわかりませんが)マネージャーが救急車を呼ぶというのを信じて、部屋を出た。遺棄とは言い切れないでしょう。

もちろん、警察は引き続き捜査を進めているはずで、将来的にこちらの件で押尾学が再逮捕されるということはあるかも知れませんが、現時点では確実な証拠がつかめていないのでしょう。

もう少しだけ続く予定。
選挙は行かれましたか? 民主党があそこまで勝つとは私も思っていなかったですが、政治の話は後回しにして、押尾学関連の話です。

東京地裁は押尾学の保釈を認めたが、現時点(8月31日朝)で、保釈金を納めていないので、まだ出てこれていないと報道されています。

根本的な話すぎて、これまできちんと書きませんでしたが、「保釈」という制度と、よく混同される「釈放」との違いについて書きます。

釈放というのは、法律により身体を拘束されている人に対し、その拘束を解くことをいいます。かなり広い意味を持つ言葉でして、刑務所に入っている人が刑期を終えて出てくるのも釈放だし、草なぎクンが不起訴で出てきたのも釈放です。

保釈というのは、釈放の中のひとつと思ってください。
起訴されて裁判を受けることになった人(つまり被告人)が、保証金を納めることを条件に、裁判までの間、出してもらうことを言います。

起訴されたということは、警察・検察側の捜査は終了し、あとの判決は裁判所に委ねるということを意味します。つまりそれによって警察・検察の手持ち時間は終了するので、あとはお家に帰ってよく、裁判の日だけ裁判所に来ればよい(有罪の実刑判決になれば刑務所に行かないといけないけど、それは後日の話)、それが刑事訴訟法の建前です。

保釈と釈放が混同されているせいで、「カネさえ積めば悪いことをしても出してもらえる」と思っている人もいるようですが、これは誤りです。

保釈できる人は上記のとおり、起訴された被告人に限られるし(だからライブドアの堀江や小室哲哉はお金を納めて保釈されたが、起訴されなかった草なぎクンには保釈の話は出てこなかった)、それにカネさえ積めば必ず保釈が許されるわけではないからです(悪質な事案であれば裁判官が保釈自体を認めない)。

押尾学の保釈金は、400万円と決まりました(これは裁判官と弁護士が協議して、事案の内容や被告人の財力などを検討して決まる)。
そして400万円程度を納められないというのは、押尾学が非常に経済的に困っていることを推認させます。

保釈と保釈金の話、次回にもう少し続く。
のりピーの一連の報道でかすんでしまった感じの押尾学の事件ですが、報道によると、最初「違法な薬と思わなかった」と供述していたのが、最近、「違法なものとわかってました、すみません」と認める方向に変わってきたとか。

供述が変わったのは、警察が問い詰めて自供させたか、弁護士が正直に話すよう説得したのか、そのどちらかか、おそらくはその両方でしょう。

想像するに警察官は、
「違法と思わんかった言うんやったら、お前はMDMAをフリスクみたいに街なかでバリバリ食べたことがあるんか? 目の前の友達がフリスク食べて急に気を失ったら普通は救急車よぶやろ、逃げたのはヤバいもん飲ませたと分かっとったからやろ?」
などと取調室で追及したものと思われます(実際は大阪弁ではなく東京弁でしょうけど)。

「違法と思わなかった」で言い逃れできるものではないというのは、ここでも少し前に書いたとおりなので、面会に来た弁護士も、「ここは素直に認めたほうがいいでしょう」と説得したはずです。

容疑者に面会に来た弁護士というと、世間的には、「容疑者に悪知恵を吹き込んで容疑を否認させる」というイメージがあるかも知れません。

たしかに冤罪の疑いが相当程度にある場合は、「不用意に『私がやった』と言わないように」と申し入れることはありますが、そういうケースは少数です。
逆に、容疑は間違いないにも関わらず「俺はやってない」と言う人に対して「その弁解はまず通らないから、素直に認めたほうがよい」と、自白を勧める場面が多いです。

だから私が刑事事件で警察署に面会に言っても、現場の警察官はたいてい、こころよく受け付けてくれます。

弁護士が面会に来るまでは、かたくなに黙秘や否認を続けていた容疑者が、弁護士に勧められて自白することも多いです。そしてその結果、情状酌量してもらって早く釈放されたというケースを、私自身、何度も経験しています。

冤罪が疑われる事件で、弁護士と警察・検察が鋭く対立するケースも中にはありますが、多くはこのような形で、警察官と弁護士がある意味「協働」している部分はあります。どちらも、立場は違えど、刑事事件を法律に則って適切に処理するという職責を負っているからです。

押尾学が、所属事務所や弁護士の力で、やったことをもみ消してくれると期待したのかどうかは知りませんが、上記の次第で、弁護士にそのような働きを求めるのはそもそも間違っていると言えます。
のりピーネタの番外編です。

20日発売の「女性セブン」(9月3日号)に私が登場しています。
(女性セブンHP http://josei7.com/

「覚せい剤事犯に詳しい弁護士」という触れ込みで、のりピーの事件にからんで、女性の覚せい剤犯罪のことについてコメントしております(60、61ページ)。

私が「覚せい剤事犯に詳しい」のかどうかはともかく、よろしければご一読ください、と宣伝料はもらってませんが宣伝しておきます。

一昨年は「夕刊フジ」に何度か登場させていただき、昨年は、「消費者法ニュース」という一般の方は読まないであろう雑誌に手記を地味に載せていたりしました(平成20年10月号、医療過誤訴訟に関する記事 http://www.clnn.net/number/news077.html )。

しばらくぶりの誌面登場で、今回は写真入りではありませんが、いつか女性セブンの表紙を飾れるようにがんばりたいと思います(ムリ)。
のりピーネタ、もう一つ。
のりピーが不起訴になるのではないかと報道されているようです。不起訴だと、草なぎクンと同様、裁判なしで釈放となります。

覚せい剤所持罪のほうは、自宅にあった覚せい剤がごく微量なため、鑑定にまわすのに充分な量が確保できない。覚せい剤使用罪のほうは、尿検査の結果、覚せい剤の成分は検出されなかった。そういうことのようです。

以下、使用罪のほうに限定して書きますが、尿から覚せい剤が出てこないと無罪になるのかというと、そんな決まりはありません。尿以外でも何らかの証拠があればよい。
では、いかなる証拠が考えられるか。

「のりピーは自白してるんだからそれでいいじゃないか」と思う方がおられるかも知れませんが、それはできません。「本人の自白だけでは有罪にできない」と、憲法や刑事訴訟法が定めているからです。

では、夫も「一緒にやった」と自供している、これを証拠に使えるか。
この点は刑事訴訟法の解釈上、本人(のりピー)の自白にプラスして共犯者(夫)の供述での補強があれば有罪にできるとされています。

ただこれはあくまで理論上そうだというだけで、現実には証拠としては非常に弱い。裁判の段階になって、弁護側の戦略で両者が証言をひるがえしてしまう可能性があるからです。
いま現在、自白していて、供述調書にサインもしていることは証拠にならないかというと、弁護側は調書を裁判所に提出することを拒否できるため、そうなると法廷に出せる証拠は何もナシになる。

実務上、検察側は、被告人が証言を完全にひるがえしても有罪にできる証拠を出します(司法研修所でもそう教わりました)。それができない限り、立件をためらうでしょう。

ならば毛髪鑑定はどうか。覚せい剤は毛髪に残るので、何本か採取して鑑定にかけることが考えられる。この場合、のりピーが毛髪の提供を拒んだら無理にむしりとることができるかという問題はありますがそれは省略し、任意に提供したとします。

ただ毛髪鑑定の結果わかることは、「ここ数年か数か月のうちに覚せい剤をやったことがある」という程度のことらしい。それだと、犯行時刻の特定としては弱いのです。

起訴する際には、犯行の時刻と場所を特定する必要があります。そうでないと、被告人側がアリバイを出したりするなどの反論ができなくなり、フェアでないからです。
何月何日、何時何分と、そこまで厳密に特定できなくても、ある程度の幅は許容されるのですが、それにしても「過去数年内」というのでは、ぼやけすぎている。

そういうことで、検察側は証拠の点でなかなか難しい公判を迫られることになりそうです。
しかし、ここは意地でも起訴に持ち込まないと、「覚せい剤をやっても1週間逃げれば不起訴になる」という先例を作ってしまいます。

のりピーの取調べは今しばらく続くでしょうけど、ひとまず現段階での話はこれくらいで。
皆さまお盆はいかがお過ごしでしたでしょうか。

私は子供も小さいため、特に遠方に出かけることもなかったのですが、実家に「里帰り」(といっても同じ大阪市内ですが)して、先祖に思いをめぐらせていた、と言えば大げさですが、仏壇のある居間で酒を飲んでいました。

私の父方の祖父は、戦争中は確か二等兵だったそうで、無事生き残りました。私の父(3年前の夏に心臓の病気で急死しました)は戦争中に生まれているはずなので、祖父が開戦直後に戦死していたりしたら、私は存在しなかったことになります。

さらにさかのぼると、ウチの先祖は土佐(高知県)の藩祖・山内一豊に行き着きます。司馬遼太郎の小説で大河ドラマにもなった「功名が辻」の主人公です(といってもドラマでは妻役の仲間由紀恵が主役扱いでしたが)。
山内一豊は関が原で東軍(徳川家康)に付いたおかげで、土佐20万石をもらいました。

大阪出身の私としては、家康よりも豊臣秀吉のほうに思い入れがありますが、400年前、山内一豊が西軍についていれば、山内家は滅亡し、私も存在しなかったかも知れません。

大阪冬の陣・夏の陣には、細川忠興(細川ガラシャの夫ですね)から大阪の山内家に、出陣するよう要請がきて、その手紙が代々、ウチに残っていたそうなのですが、その原本は今、大阪城に寄贈してあるらしく、私は見たことがありません。

時代が少し下って明治維新のとき、殿様だった山内容堂は、坂本龍馬が発案した「大政奉還」の建白を徳川慶喜に提出して受け入れられます。
その後、土佐藩山内家は、藩の下級役人であった岩崎弥太郎に財産を譲り、その岩崎が会社をおこして、それが現在の三菱グループのもとになります(たぶんそのへんの話は次期の大河ドラマ「龍馬伝」で描かれるはず)。

私の実家はそのころ(明治維新のとき)から、今の場所(大阪市東成区)にあったはずなのですが、土佐藩の大阪屋敷は今でいう大阪市西区にあったそうです。だから西区に今でも「土佐稲荷神社」という神社があり、「土佐堀」という地名も存在します。
そのへんの関係は、いつか調べてみたいと思っていますが、なかなか機会と時間がありません。

子供が大きくなったら、夏休みに学習塾など行かなくて良いので(私も行ったことがありません)、お盆にはそんな話を一緒にしてみたいと思っています。

この国と、国の歴史と人々と、いろいろなことがあって、今の自分が生かされている、ということに思いをはせてみたいと思っています。

ということで当事務所もお盆休みが明けました。引き続き職務に邁進いたします。

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今回は雑談でしたが、次回は再びのりピーネタに戻って、のりピーは不起訴になるのか否かについて触れたいと思います。
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