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大阪市西区・南堀江法律事務所のブログです。
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神奈川にて、電車内で女性の衣服につばをすりつけた男性(34歳)が、現行犯で逮捕される(1日)。
「美人を汚したかった」というその動機はともかく、この行為が何罪にあたるかというと、暴行罪です。

これまでも何度か触れましたが、殴るだけが暴行ではない。
暴行の定義は「人の身体に有形力(物理的な力)を行使すること」なので、つばのついた手をこすりつけることも、人の体に力を加えたことになるので暴行にあたる。人の顔などにつばを吐きかける行為も、判例上、古くから暴行とされている。

話変わって、私が弁護士になってすぐのころに担当した刑事事件で、電車内で女性の衣服に精液をとばしたというのがあったことを思い出します。この男性は器物損壊罪で逮捕されました。

損壊の定義は「物の効用を喪失させること」、つまり台無しにすることです。
見知らぬ男性の精液がかかった衣服など二度と着たくないだろうから、衣服という器物を損壊したことになる。

このとき、精液が衣服ではなくて、手など素肌の部分にあたったらどうなるか。衣服は損壊していませんが、精液を飛ばすという物理的な力を行使したことにはなるので、暴行罪にあたるでしょう。

ここで冒頭の事件に戻ります。上記の神奈川の男性は、つばを衣服につけて暴行罪で逮捕された。器物損壊罪ではない。
警察の解釈は、少々つばをつけた程度では、服を台無しにしたことにならない、洗濯すればまた着れるということなのでしょう。

整理しますと、つばの場合は、手にかけても服にかけても暴行罪。精液の場合は、手にかかると暴行罪で、服にかかると器物損壊罪。女性にとって何が一番イヤでしょうか。暴行罪の場合は2年以下の懲役、器物損壊罪なら3年以下の懲役です。

さらに話が変わって、吉本新喜劇の浅香あき恵が、「鼻のアブラをとばす」というギャグをやりますが、本当に鼻のアブラを人の衣服にとばしたとしたら、はたして暴行なのか器物損壊なのか。

と、決して悪ふざけで書いているのではありません。
他人に迷惑をかけるような行為が、Aという犯罪にあたるのかBという犯罪にあたるのか、またはどれにも該当しないのかは、判断が微妙なケースも多く、その都度、警察や裁判所が法律を解釈しながら、妥当と思われる条文をあてはめているのが実情である、ということを書きたかったのです。

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